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依頼人は欲しがり
古びたごついテーブル。男はその上で手を組んでいる。おれ達を一瞥すると、ゆっくりと口を開いた。
「よく来た、妹……とその仲間よ」
あれ、この人、昨夜どこかに飛ばされてたような……
「馬でひとっ走り、といったところだ」
顔に出てたか?思考が読まれたみたいでギョッとする。
「こんな所に呼び出して何の茶番じゃ、兄上よ」
うわっ、嫌そうな表情。顔に出まくりだ。
「ククク、必死こいて来てみれば、この扱い、ククク」
これがなかったら結構カッコいいのに、残念な人だ。
「もっと、もっとだ、妹よ!」
気持ち悪いなあ、この人。
「……燃やしちゃっていい?……」
魔法使いが手のひらで火を弄ぶ。
「ああ、こんがりと頼むのじゃ」
女子たちの物騒な会話。このままじゃ話が進まないぞ。
「お兄さん、用件を……」
おれが言うのを遮って男は言った。
「貴様の兄になった覚えはない!」
くっそウザい!
「場を和ませる冗談はこれくらいにして」
ああ、冗談だったのか。てっきり妹に罵られて喜んでいるのかと……
「ニヤついて気持ち悪いのじゃ、兄上」
「ククク、さすが我が妹、するどい、ククク」
この、駄ニキ!