ロリvs巨人!
「お主の短剣、貸してくれぬか」
リーダーが言った。もはやおれの剣じゃないような気がする。おれが差し出すと、リーダーは素早く抜いた。
「必ず返すのじゃ」
抜身の刀身がパチパチと光を放つ。
小柄なリーダーと比べると、その男の大きさはより際立った。巨人のような……リーダーがめいっぱい剣を振り上げても、奴の頭まで届かないのでは……
「ちっと気合を入れぬとな、ふんっ!」
おお、刀身が伸びた⁉︎
「シスター、聖水を取りに行くのじゃ」
自分の背丈よりも長い、光の剣。少女はそれを、ギュッと斜
に構えた。
「しかし、その人を切っては……」
言いかけたシスターを、リーダーが遮る。
「心得ておる!……じゃが長くはもたぬぞ」
「は、はい!」
シスターはそう言うと、元来た方向へと走って行った。
「頼むぞ」
見たこともない、真剣な表情をしていた。
「ウオアア!」
巨人が力任せに腕を振り下ろす。リーダーはそれを危なげなくかわして、ポツリと呟いた。
「お主だけ後回しですまぬの」
そうだ、相手は人間なんだ。もっとデカいのと戦ったこともあるけど、今回はあまり無茶できないんだよな。
リーダーはなおも避け続けていた。心なしか、相手の攻撃の精度が上がってきている気がする。
「こやつ、学習しておるようじゃな」
「……くっ、援護を……」
「ならぬ、魔法使いよ、お主も限界が近いじゃろう」
おれにはよく分からないが、MPが残りわずかということか?
「切り札は取っておくものじゃろう」
くっ、何かおれにできることは……
「なんて馬鹿力じゃ!」
とうとう避けきれなくなり、リーダーは剣でその攻撃を受けた。羽毛のように軽々と吹っ飛ぶ体。体重が圧倒的に足りない!
「スタイル抜群じゃからのう!」
減らず口を叩く。心は負けてないが……
「じゃが、こやつの腕の一本も、落とさねばならぬかもしれぬな」
そんなことはさせないぞ。何か、方法を!
そうだ、この状況、知ってるぞ。あの時は確か……
「な、なんじゃ勇者よ、破廉恥な!」
おれは腰を落とすと、リーダーの背中に自分の胸をつけた。
「違う、リーダー。リーダーは軽すぎるから」
「重石になろうというのか、ほほう、そのアイデアなかなか」
「……面白い……」
黙れ魔法使い。今そういうの要らないから。
「……おもしだけに……」
説明しなくていいから!
「わしが受けた瞬間に力を入れるのじゃ」
おれはふわりと腰の周りに手を回す。こんな細い体で戦っているんだ。
「ヤバくなったらお主だけ逃げるのじゃぞ」
「聞こえないよ、リーダー」
「ふふん、とんだ勇者じゃのう……来るぞ!」
来い!おれは叫んだ!
「おれ達を、なめんなああああ!」