爽やかな朝
ホーホー、ホッホー……
チュンチュン……
爽やかな異世界の朝、鳥たちの声は、どこか懐かしく聞こえて、でも……
うう、頭が痛い。ちょっと調子に乗って飲み過ぎたかも。疲れてたし、いつどうやって寝たのか、記憶に無い。んっ?
おれは起き上がろうとするが、体を両脇から押さえられて、動けない。しまった、罠か?酔わされて、拘束されて……
薄暗い部屋、硬いベッドの上でおれは目を凝らす。しばらくして目が慣れてきた。脇の下にすっぽりと、リーダーのアタマが収まっている。ニヤついた、呑気そうな表情。
「お、おうふっ!」
驚くが、咄嗟に声を殺す。起きられるとマズいような気がするぞ。自由な方の腕で起き上が……れない。腕に感じる、重み。
魔法使いが腕にしがみついて、寝息を立てている。すうすうと呼吸をするたびに、柔らかいものが揺れる感触。ちょっと、いや、かなり刺激が強いぞ!
そっと抜けようとするが、ビクともしない。この人たち、さすが日常的に戦闘を繰り広げているだけあって、見た目以上に強いのかもしれない。体幹とかなんとか、よく知らんが。
不意に、近づいてくる足音がした。しかもこの感じ、男どもじゃないぞ……
「皆さま、朝食の準備が……きゃあ!」
「シスター!ち、違うんです!」
おれは慌てて弁明したが、シスターは続けた。
「なんと……ふしだらな!」
まだ童貞ですってば、くそっ!
「おお、よく眠れたのじゃ」
リーダーがひとつ伸びをして言う。
「おれは抱き枕じゃないっつーの」
「……いい夢見れたか、少年……」
「おれだって男なんですよ。ちょっとは警戒して……」
「わしらはお主を信じておるからのう」
な、ナニ良い話っぽくまとめてるんだ、リーダー!