6.5.死者会議
誤字脱字、拙い文章すいません。
ここはどこだろうか?
気が付くと見覚えのない部屋に立っていた。
奥行きの分からないほど広い部屋だ。
しばらく歩くと奥に円形のテーブルが見えた。
そして2人の人物がいる。
彼らの言い争いが聞こえてくる。
「おいクソメガネ、なんで俺の後ろに隠れる」
「陽キャは陰キャを守る義務があるんですよ!」
「あるかんなもん!お前が俺を守りやがれ!」
そんな事を言いながらお互いをこちらに突き出しあっている。
彼らには見覚えがあった。
召喚された日に魔王に殺された勇者2人だ。
2人の前に立つと
「ひぃぃぃ殺される!!」
と、怯え出すので首を横に振って殺さないと意思を伝える。
「いいや!殺すね!だってお前躊躇しないじゃん!」
それはそうだろう。
魔王を殺すためなのだから人間を殺す事になんの躊躇いもない。
だが今は死んでしまった身だ、もはや殺す事に意味はない。
そもそも死後のこいつらを殺す事なんて出来るのだろうか。
とりあえず再度首を横に振り本当に殺さないと意思を伝える。
「なぁ、そう言えば俺たちもうしんでね」
「あ、あぁーそう言えば」
どうやら信じてもらえたらしい。
俺達3人が席に着くとテーブルの上にティーカップや大量のお菓子が現れた。
テーブルの中央には水晶が置かれておりそれが地上の様子を映していた。
現在映されているのは生き残った2人の勇者が見た事もない乗り物に乗って移動しているところだ。
「まさか異世界に車があるなんて思いもしませんでしたよ。文明の進んだ異世界なんて邪道ですよ!」
車、この乗り物のことだろうか。
「いやマジびっくりだわー街とかはどうみたって古い感じすんのになー」
「ところでお前はなんで喋らないんだ?」
金髪の男がそんな事を聞いてくる。
喋らない、そうではない。
この世界に来てから声が出なくなったのだ。
いや、記憶がないので元から喋れなかった可能性は否定しきれないが。
「喋れねぇんだよ」
ん?普通に声がでた。
「ふーん、じゃあ生きてる時は声でなかったんだ。そら大変だわー」
「まぁ特に話す事もないけどな」
気が付けば菓子をつまみながら談笑していた。
なんだこれは。
「ところであなた達3人は召喚される前の記憶がないんですよね?我々2人は普通にあるんですけど、記憶」
「そうなのか?異世界に召喚された副作用だと思っていたが、違うのか」
「まぁ個人差があるってとこなんじゃねーか、知らんけど」
「それにしてもお前らさーちょっと頭おかしすぎねぇか?普通魔王殺す為つったって人間殺すってなったら躊躇するだろう普通?特にお前は見てて超怖かったんだからな!」
「そうか?いや、そうだな。確かに、俺はどうして、あんな」
頭に強烈な痛みが走る。
「うっぅぅぅ」
「おい!大丈夫か!」
「あ、あぁ大丈夫だ」
痛みは一瞬で引いていった。
(なんだ、一体)
話題は一変して。
「あなた達はどちらがタイプの女性ですか?」
「おめぇは恋バナ好きだなー恋愛経験なんてないくせによー」
「し、失礼な!恋愛経験くらいありますよ!あれはそう、1年前の秋頃でした、画面が黄金に輝き彼女は僕の目の前に現れたのです!」
「はいはい2次元2次元。だいたいなんだよその口調は。愚かなっとかイキってたくせによ」
「あ、あれは忘れてください!異世界に召喚されたら誰だってイキるでしょうがぁ!」
(こいつらの会話はついていけない)
「き、君はどっちの人が好みのタイプですか?」
眼鏡の男が話題を逸らすように慌てて言う。
そんな特に意味の無い会話をどれくらいしていたのか、大量にあったテーブルのお菓子はすっかり無くなってしまっていた。
「いやはや放課後じゃなくて死後にティータイムをする事になるとは」
特にこの眼鏡の男の言葉には意味のわからない単語が多すぎる。
どこかの国の慣用句か何かだろうか。
「じゃ、とりあえず今日は解散だなー」
「そうですねー」
「ここから出れるのか!?」
「ん?あぁそうだな。俺達もよく知んねーけど気が付いたらたまにこの部屋にいるんだよ。まぁだいたい菓子食べ終われば帰れるな」
「なんなんだそのシステムは…」
「さぁな、まぁ死んでからも人と話せるってのはそれなりに幸せな事なんじゃないかって思ってるよ。あんま死んだ自覚ないんだけどな」
「あぁーそうだね。魔王に殺された時痛みとか何も感じなかったし」
(魔王、俺はどうしてあれほど殺したがっていたんだろう。なにか、使命感というか、絶対に殺さないといけないって…あれは一体…)
「じゃあな」
「え、あぁ。また」
2人の姿が部屋から消えていく。
そして俺も。
続きます。おもしろいと思われた方はブックマークよろしくお願いします!もう1つ挟んで本編に戻ります。