14、勇者、すっごい光った。何故か俺も光りはじめた。
本日はお日柄も良く、晴天に恵まれました。
これもひとえに、俺の日頃の行いが良いからだと思います。
頑張ってるよ。自分で言っちゃう。頑張ってるよ!
勇者選定の儀式がまもなく当教会で執り行われます。
いつもよりよそ行きの装いで着飾った新成人、16歳の少年少女達が集まっています。
いいですね、見てるこちらまで嬉しくなってきます。
ご隣席の御家族の皆様も...、あ、もう若干出来上がってますね。
めでたい日ですからね、ちょっと一杯ひっかけてきちゃった方もいらっしゃいますかね。
楽しそうです。なによりです。
「皆様、お時間が近づいて参りました!
どうぞ教会の中へとお進み下さい!」
俺は声を張ります。
やる気に満ちてますよ。
ついに、神父としての初仕事です!!
...うへへっ!!
格好つけてみたけど、ダメだ!
内心、この場にいる人の中で俺が一番浮かれてるかもしれない。
(もしかしたら、次点は父様の可能性もあるとみている)
嬉しいよ~!
動機は不純だったかもしれないけど、神父になりたい!と産まれてすぐからずっと思ってきた。
夢が叶ったー!
って気持ちがとても大きいんだ。
今日の儀式はニコニコしててもいいからね!
成人めでたいなー!って気持ちと相まって、顔がゆるむゆるむ。
しかしあれだな、本番が迫ってきて、ちょっと緊張してきた!
さあ!
いっちょ気合いを入れていきますよ。
みんなに神の祝福を届けなければ!
「この良き日に、勇者選定の儀式にのぞまれる皆様、誠におめでとうございます。
本日儀式は当教会神父でありますわたくしが執り行わせていただきます。
なにぶん新米で、いたらぬ事もあるかと思いますが、何卒宜しくお願い致し」
「おう!レイ!そうかしこまんなよ!緊張してんな!?」
「初仕事なんだろ、大丈夫だ!みんなわかってっから!」
「レイちゃーん!あたし達からみりゃ、あんたもこの子らと同じようなもんだよ!気張らずにやりな!」
出来上がってる父兄ズの皆様が!
最後まで言わせてくれなかった!
会場から笑いがおこる。
本日の主役達から、がんばれー!なんて声も。
お前らも頑張んだよ!そうだな!なんて誰かが言って、また笑いがおこる。
あはは。
おじちゃんおばちゃんパワーは凄いな、みんな、ありがとう!
「実は結構緊張してたんですが、一気に肩の力が抜けました。
皆さん、ありがとうございます。
精一杯務めさせていただきます。
これより、勇者選定の儀式をはじめます。
皆さま、神に祈りを捧げましょう」
小さく産まれたか弱き生命達は、神の恵みを受け、大地に、そしてこの地に生きる命に支えられ成長し、勇者たる者達へとなりました。
神よ、貴方の愛で、どうかこの者達へ人生を力強く生き抜く力をお与え下さい。
祝福をお与え下さい。
教会の中に柔らかな風が吹きます。
神の祝福です。
良かった、祈りが通じた、儀式は成功だ。
「皆さん、神が祝福して下さいました!」
わあっ!と声があがり、拍手が鳴り響く。
ああ、素晴らしい光景だ。
祝福の光だ。
......ん?
...んんんんっ!?
は?光?
光っ!?
なにこれ、どこ光ってんの。
成人の祝福は、爽やかな暖かい風だよ。
えっ。
誰?あの子誰?
めっちゃ光っちゃってる。
全身ピカーって。
本人も自分の身体や両手キョロキョロ見てるよ。
ああああ!?
これアレだ!
大教会の教本でみたやつだ!
ガチのやつだ!?
つまり、あの少年は、
勇者!!!!?
~~っ!
マッジかよ、どうすりゃいいんだよ、てかあいつ見たことない子なんだけど、うちの領地な子?
うちの領地は王都まで馬車で3日程かかるちょっとした田舎だけど、他国から王都へ向かうルート上にある。
でも手前に、うちより大きくて賑わっている街があるので、大抵の旅人はそちらを使う。
それでも、人の通りがあれば物流は出来るし、そこそこ仕事はある。
だから手前の街よりは少ないけれど、移民もたまに定住したりする。
光り輝いている少年は、この辺りではあまり見ない風貌だ。
黒っぽい髪に、髪と同じ色に見える瞳、すごく懐かしく思える姿だ。
ハッキリ言うと、前世の世界の人みたいだ。
日本人に似てる。
...綺麗めの美少年だ。
「これは...」
「レイモンド!神の、神の声は聞こえるか!」
おじい様と父様が慌てている。
たぶん俺と同じで、勇者の可能性に慌ているんだろう。
「き、聞こえてない!」
「問いかけて!神様にお伺いして!」
え、えええ?
今まで聞こえた事ないけど、ぶっつけ本番で大丈夫なもんなの?
こちとら、やる気と元気だけが取り柄の世襲神父だよ?
「か、神よ、どうぞわたくしの声にお答え下さい」
『人の子よ... 』
うわっ!聞こえた!今なんか聞こえた!
聞こえた、と思ったら、俺の身体まで光出した。
ひ、ひいいいいっ!?
『聞こえてるね。
良く聞いてね。勇者が決まったよ。
勇者はそちらの黒髪の子ね。
君は...、ああ、君、異世界の子なんだね。
面白いな。
そうだな、君は勇者を支えてあげて?
そして、魔王を倒してね。
あ、二人で王都に行って国王に会ってね。
あっちにも神託下しておくから。
じゃあ宜しくねー』
フランクー!
神様、超フランクだったー!
いいの?そんなノリなの?
めちゃくちゃ軽く言ってたけど、魔王いるんかーい!
しかも俺も行くんかーい!
だんだん、光が薄くなってきて、そして消えた。
「し、神託が下りました」
黒髪の少年のほうに向かい、そして手をとる。
「貴方は神によって選ばれた、勇者様です」
教会の硝子が割れるんじゃないかと思うぐらいの、叫び声が、その場にいた人達からあがった。
その時歴史が動いた!(混乱状態)




