事故ったら目の前に女の子がいた。
ぜんかいのあらすじ!
自転車で普通に走っていたら車に轢かれてしまった諸星葉介は白い天井と泣いている恋人、家族を見て死んでしまった!
しかし変な感覚で目を開けると、驚いた顔の女の子が!
ここはどこだ! 彼女は誰だ! そして自分は死んだのではないのか!
疑問を解消しようと葉介は女の子に声をかけたのだった。
「あの、……こんにちは」
「こ、こ、こんにちは! こんにちは! さようなら!」
「えっ」
ここは森の中だろうか? いや、森の中ってどういうことだ? 俺は死んだんじゃないのか? あの女の子は誰だ?
疑問が解決されずぐるぐると廻っていく。自分だけでは解決できそうもないと思い女の子に話し掛けたら逃げてしまった。
呆然と立っていても仕方がない。女の子が逃げた方向へ歩いて行こう。
そう思い、一歩踏み出そうとして気がついた。
あれ? 俺足なくね?
足がないのに立っている。足がないのに歩ける。足がないのに感覚がある。一体全体どういうことだ? 俺は死にながら夢でも見ているのだろうか。というかなんだこれ、なんだこの体験、気持ち悪い。なんか分からないが気持ち悪い。目では見えない足でも付いているのか? 足がありそうな所に手を近づけて腕がないことに気がついた。
え、俺まさか今達磨男? 宙に浮いてる達磨男?
「これぞ摩訶不思議体験と言うやつか……いくら夢でも何でも無理があるだろ、これ」
需要がないんだから供給しないでほしい。
手、というか腕の感覚も足の感覚もあるため一回ストレッチしてみる。屈伸とか、開脚とか、あれとか、これとか、それとか、名前は分からないが体育の授業でやっていたようなものを片っ端からやっていく。
伸びがスゲェ気持ちいい。なんか鳴ってる、コキコキバキバキ鳴ってる。
ストレッチが終わり、その場駆け足やスクワットやももあげもやって、この体が普通に動くことと、めちゃくちゃ疲れることは分かった。明日筋肉痛になりそう。いや、俺に明日は来ないだろうけど。
「ぜぇ、はぁ、うっ、げほっごほっ! 運動不足すぎる、ってか水、喉乾いた、水くれ、水」
そう言いながら公園にある蛇口を回すとピューと水が出るあれを想像する。手が使えない今ピューピュー出てくれるあれがとても欲しくてたまらない。
勿論こんな森の中でそんなものが出てくるはずもなく、まず元いた所から動いてないのだから水もない。
少しの時間が過ぎ、突然何かの音が聞こえた。もしかしたら猪か何かがいるのかもしれないとドキドキしていると、葉介の一メートル程前に土が混じった水が吹き出した。
水は水でも泥水が葉介に降り注ぐのであった。
「違う、そうじゃない」