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序章
僕は、マヤノス山に来た。
ここにはオーロラと雪の一部に触れると過去に戻れるという。
オーロラを浴びる雪山。常に差し掛かっているわけじゃない。
オーロラの道、オーロラロードはまるで浴びたら天に召されるのではないかと言われていて、それゆえか天空山とも呼ばれている。
「待ってて、妃。僕が必ず助ける。」
妃は僕の妹だ。
僕の妹とは思えないくらい綺麗だ。顔立ち整っていて髪が長く、腰に手を当てたら、モデルのような立ち絵になるくらいスラっとしている。
お兄、わたしのことばっか考えてないでじふんのことを心配しなよ。
なんて言われそう。
妃は五年前に交通事故で死んだ。
実際には死んでいるわけではないのだけれど、今も病院に寝たきりだ。
僕があのとき引き止めていれば。
僕が妃の手を取っていたら。
手を伸ばしていたら。
運命は変わっていたのかな。
運が悪かった。
だけど
死んでないだけ良かったのかな。絶望だけが僕を支配していた。
3年前の出来事がなければ……