生まれ変わっても…
『彩織ちゃん、行くよ。』
結月くんは、私の先を歩きながらそう言った。
「結月くん、待ってよー。」
さっき、ピアノコンクールが終わったばかりで、ヘトヘトなのにー。
『彩織さん、おめでとう。』
『おめでとう!!』
アダムさんとレムが、祝福してくれた。
結月くんは、BloodとBlackと呼んでいるみたいだけど…私は、この方が呼びやすいの。
「2人共、ありがとう!!」
そう言って笑ったら、牙が出ている気がした。
普段は、小さくて目立たないんだけど…笑うと出てしまう時があるの。
それを見ていた結月くんが、『彩織ちゃん、牙が…。』と焦っている。
焦っている姿を見ていると、もっと困らせたくなってしまった。
「結月くん!!」
そう言って、抱きついたらやっぱり焦っていた。
首元を見ていたら、血を飲みたくなってしまった。
『さ…おり…ちゃん…。』
私の名前を呼んで、こっちを見てくる結月くん。
「我慢出来なかったの。ごめんね。」
てへっという感じで、謝ったら、『…分かったよ。僕も、飲ませてもらうよ。』だって。
ちょっと、強引なキスはドキドキした。
アダムさん達が何か言っているけど、私は結月くんの事しか考えられなかった。
気付いたら、「好き…。」と呟いていた。
私は、前世のカイトも今の結月くんも好きだよ。
また、生まれ変わったら…一緒にいたいなぁ…と思った。




