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空き地
僕は、走りながら一体どこにいるんだろう…と考えていた。
『結月、ここあの子の香りがするよ。』
「えっ…。」
Blackは、うさぎだからか鼻が利くらしい。
だけど、今僕達がいる場所はBloodの家の近くの空き地だ。
『うん。やっぱり、ここだよ。』
空き地へ入って行き、Blackは鼻をくんくんさせている。
『やめて!!』
女の子の大きな声が空き地の奥から聞こえてきた。
僕達は、急いで走った。
「彩織ちゃん!!」
『ゆ…結月くん…!!』
泣き出しそうな顔をした彩織ちゃんの前にいたのは、真っ黒な服を着た人だった。
『お前は…。』
こっちを見てきた目は、真っ赤だった。
こいつ、ヴァンパイアなのか…。
だけど、どうして彩織ちゃんを狙っているんだ…?
「彩織ちゃんに、手を出すな!!」
『お前は、この女の正体を知っているのか…?』
「正体…?」
一体、何の事を言っているのか分からなかった。




