キミからの助けて…
「お邪魔します…。」
そう言って、玄関で靴を並べた。
それを見ていたBlackは、『結月って、礼儀正しいね。』と言った。
礼儀正しいって、常識だよ…と思ったけど黙っておく事にした。
『Blood、ただいまー!!』
Blackは走り出して、部屋へ入って行く。
その姿は、黒いうさぎに戻っていた。
「Black、戻ったの?」
『うん。人間でいるの疲れたんだもん。』
『Black、帰ったのか。えっ、結月!?』
Bloodは、僕の姿を見て驚いている。
「いきなりごめん。」
『大丈夫だ…。まさかいるとは、思わなかった。』
Bloodの格好は、水色のパジャマだった。
『Blood、まだ寝てたんだな?』
『朝は、弱いからしょうがないだろ…。』
横を向いて、そう言うBloodはおかしかった。
「Bloodも可愛い所あるんだね。」
『結月まで、やめてくれ…。』
そんな事を話していたら、頭の中に声が聞こえてきた。
“結月くん、助けて!!”
「…っ。」
『結月、どうかしたのか…?』
僕の異変が分かったのか、Bloodが聞いてきた。
「さ…彩織ちゃんが、危ない!!」
『さっき、別れたんだよね?』
「ピアノの先生が来るから、早く帰るって…言っていた。」
『結月、行くぞ!!俺は、あとから行くから…先に行ってろ!!』
「分かった!!」
玄関を開けて、僕は走り出した。
『僕も行くよ!!』
僕の肩にBlackが乗ってきて、そう言った。
彩織ちゃんの無事を祈りながら、走る僕達だった。




