彩織ちゃんとBlack
公園に着くと、ベンチに座っている彩織ちゃんが見えた。
今日は、髪を下ろしていて、ワインレッドのセーターに黒色のスカートだった。
思わず見とれていると、『結月、早く行くよ。』とBlackに言われた。
「う…うん。」
走って、彩織ちゃんの元へ向かうと、僕に気付いて手を振ってきた。
「遅くなって、ごめんね。」
『大丈夫だよ。あっ、その人…!!』
彩織ちゃんは、僕の隣にいるBlackを見てびっくりしている。
『この間は、どうも。』とBlackが頭を下げた。
『私こそ、ありがとうございました。結月くん、知り合いだったの?』
「えっと、アダムの親戚らしいんだ。この間、彩織ちゃんに僕の具合が悪いって教えてあげた…と聞いたんだ。」
『そうだったんだ。少し、アダムさんに似てるもの。』
『そうかなぁ…?』とBlackは首を傾げた。
『名前は、何て言うんですか?』
『僕は…レムと言います。』
「レムは、日本に遊びに来たんだって。」
『レムさん、よろしくね!!』
彩織ちゃんは、ニコニコしてそう言った。
『僕こそ、よろしく。』
Blackは、そんな彩織ちゃんを見ながら、ニコニコしている。
この2人、気が合いそうだな…と思った。
「あっ、彩織ちゃん。何かあったの?」
さっき、電話をしてきたから何かあったのだろうか…。
『ううん。結月くんに、会いたくて…電話したの。』
僕の目を見つめて、そんな事言われたら…恥ずかしい…。
あっ、そういえば…目の赤さはどうなったんだ…?
『…大丈夫だよ。』
ボソッと僕の耳元で、Blackが言った。
さすが、Black。助かった…。
「僕も会いたかったよ…。」
『じゃ、僕は街を散歩してくるね。』
『レムさん、案内は大丈夫?』
『大丈夫ですよ。』
Blackは、手を振って公園を出て行った。
2人きりになったけど、何を話そうか…と悩む僕だった。




