危険な夜③
しばらく、赤い月を眺めていたら小さな何かが飛んできた。
『結月!!』
「…?」
この声は、Black…?
『大丈夫…?一体、何があったの…?』
僕の足元に近付いてきて、心配そうに見ている真っ黒なうさぎ。
「僕は…血を飲んでしまった…。」
一言、僕はそう言った。
『…やっぱり…。目が、少しだけ赤いもん…。』
僕は、地面に座り込んで膝を抱えた。
「血を見た途端、おかしくなって…。シャーロットさんの時は、平気だったのに…。」
『きっと、シャーロットの時には悲しい想いが大きくて、血を飲みたい欲求がなかったんだと思う。
今は、何もなくて…赤い月だったから、抑えられなかったんだよ…。
相手は、ヴァンパイア…?』
「…うん、そうだよ…。僕をヴァンパイアにした奴。殺してしまった…。」
『結月は、悪くないよ…。このヴァンパイアが悪いんだ…。結月の日常を奪ったんだから、殺されて当たり前と思う…。』
その言葉に、僕は顔を上げてBlackにお礼を言った。
「…Black…ありがとう。そういえば、Bloodは…?」
『Bloodは、家にいるよ。何だか、今日の月がおかしかったから、結月の様子を見に行ったんだ…。家にいないみたいだったから、探してたんだよ。』
「そっか…。Bloodが知ったら、怒るだろうな…。」
倒れているヴァンパイアを見ながら、僕はそう言った。
『…うん…。このヴァンパイアは、朝には消えてるはずだから、大丈夫だよ…。』
昔見たドラマのように、光を浴びたら消えるという事…?
僕は、人間だから大丈夫なのだろうか…?
「ヴァンパイアは、光を浴びたら…消えるんだね…?」
『うん、そうだよ。』
やっぱり、そうだったのか…。
僕が襲われたあの日、急に空が暗くなったのは…ヴァンパイアが消えないようにしたからだったのか…。
「Black、ありがとう…。迷惑かけて、ごめん…。」
『僕は、大丈夫だよ…。結月は、早く家に帰って寝た方が良いと思う。』
「うん、そうする…。Blackも、来る…?」
『えっ、良いの…?行きたい!!』
Blackは、嬉しそうにニコニコしている。
「うん。」
僕は、Blackを連れて家へ帰る事にした。




