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危険な夜①
「はぁ…はぁ…。」
あれから僕は、黒いパーカーを羽織って、彩織ちゃんの家まで走っていた。
走りながら思った事は、“不安”の2文字。
それに、今日の月は…どこかおかしい。
いつもは、黄色いはずなのに、赤く見える。
赤い物を見たら、また発作が起きるかもしれないから、急いでパーカーのフードを被った。
これで、安心して彩織ちゃんの家へ行ける…。
そう思いながら、ひたすら走った。
「…着い…た…はぁ…。」
1軒だけ、灯りがついている家があった。
そこが彩織ちゃんの家だ。
きっと、2階にいるんだろうなぁ…と思いながら、部屋を見上げる。
すると、綺麗な音色が聴こえてきた。
『…♪私は、あなたといられるなら…』
この声は、彩織ちゃんの声。
この曲は、初めて聴いたなぁ…。
誰か、好きな歌手の曲かな…と思っていたら
、僕の前に何かが現れたのだった。




