大切な人を…③
Bloodは、きっと“血”をあげたかっただろう。
だけど、大切な人がおかしくなるのは…見たくないと思って、この方法を選んだのだろう。
さっきから、Bloodは謝ってばかりだ。
『シャーロット、ずっと一緒にいられなくて…ごめん…。』
『アダム、謝らないで…。私は、アダムの苦しみを分かってあげられなかった。ごめんね…。』
きっと、シャーロットさんは、Bloodがヴァンパイアになっている事を知っている…と思った。
『シャーロット、ありがとう。』
『私こそ、ありがとう。あなたは、私の“ヒーロー”よ。まさか、ヴァンパイアに噛まれたなんて思わなかった…。』
『俺は、シャーロットを守れて嬉しかった。ありがとう…。』
『そろそろ、時間だよ…。』とBlackが言った。
『あなた達も、ありがとう。アダムをよろしくね。アダム、さようなら…。』
「はい…。」
『分かりました…。』
『シャーロット、さようなら…。』
Bloodが、別れの言葉を口にしたら…シャーロットさんは、キラキラと輝いて消えてしまった。
「Blood、大丈夫…?」
大丈夫なはずはないのに、そう言ってしまう自分が嫌になる。
『大丈夫…。シャーロットが生まれ変わったら、今度こそ幸せになってほしい…。』
「うん…。」
『帰るぞ…。』
『僕も、一緒に帰る!!』と小さなBlackは大きい声で言った。
「うん…。」
僕達は、シャーロットさんの家を出た。
辺りは、暗くなっていて、バスも走っていない時間だった。
『俺が乗せていく…。』と無理やりBloodの背中に乗せられた。
Bloodは、羽なんて生えていないのに、マント1つで飛ぶらしい…。
きっとBloodは、苦しい想いをしているだろう。
それを出さないのは、Bloodらしいな…と思う。
僕だったら、絶えられない…とBloodの背中で思っていた。




