大切な人を…②
『Black、来てくれ…。』
Bloodは、俯いて、小さく呟いた。
5分もしない内に、僕が割った窓ガラスから黒色のうさぎが飛び込んで来た。
『Blood、どうしたの…!?』
「シャーロットさんが、亡くなった…。」
僕は、それだけしか言う事が出来なかった。
『そっか…。Blood、シャーロットさんに…“あれ”をした?』
“あれ”とは、何だろう…?
『いや、していない…。今から、お別れをする…。』
「…。」
Bloodは、シャーロットさんを抱きしめた。
『シャーロット、ごめんな…。楽にしてあげるよ…。』
Bloodがそう呟いた途端、シャーロットさんの体はキラキラと輝き始めた。
『…ア…ダム…?』
僕は、目の前の光景を疑った。
だって、今亡くなったシャーロットさんが、元気そうな声でBloodを呼んだのだから…。
『成功して、良かった…。』とBlackはホッとしていた。
「Black、何したの…?」
『あっ、結月。説明していなくて、ごめんね。これは、ヴァンパイアだけが出来る事なの…。』
「生き返らせたの…?」
『ううん、違う…。天国へ行っちゃう前に、元気な姿を見られて、お話出来るようになる方法だよ。あと、もう1つ…あるんだけど…。』
「もう1つ…?」
『これは、したらいけないと思うんだ。結月になら、話すよ。それは、ヴァンパイアの“血”をあげて、生き返らせる事…。』
「えっ…。」
もし、彩織ちゃんがあんな風になった時…僕はどうするのだろう…。
僕の“血”をあげようと思うのだろうか…。
『だけど、リスクがあるんだ。生き返った人間は、気が狂ってしまう。その時間は、誰にも…分からない…。』
僕とBlackは、シャーロットさんと話をしているBloodを眺めながら、そんな話をしていた。




