Bloodの過去⑦
『あの殺人事件が起こった後、警察は犯人を追っていた。
だけど、見つけられなかった。』
「どうして…?」
『犯人は、身を隠していたんだ…。それも、この森に…。』
「えっ…。まさか、シャーロットさんが住んでいる森の近く…?」
『そうだ…。それを見つけた俺は、犯人に分からないように、見張っていた。』
Bloodは、その犯人が怖くなかったのかな…。
きっと、好きな人の為に…強くなったのかな…と考えていると、Bloodがこう言った。
『ある日、犯人がシャーロットの家近くを歩いているのを…見かけた。ここに、家があるなんて…珍しいからな。』
「そういえば、シャーロットさんはどうして、森の中に住んでいるの?」
さっき、話を聞いた時から思っていた疑問を聞いてみる事にしてみた。
『シャーロットのご両親は、自然が好きだった。
森の中は、空気が澄んでいて好き…だったと聞いた。
だから、森の中に、家を建てたみたいだ。』
「そうだったんだ…。」
シャーロットさんは、ご両親の事…大好きだったんだな…。
『話を戻すと、犯人は家に入ろうとしていた。もちろん、それを見ていた俺は相手に飛びついた。」
「犯人は、どうしたの?」
『ナイフを持っていたらしく、俺を殺そうとしてきた。俺は、回避しながら、攻撃を受けないようにした…。』
「その時、ナイフが刺さっちゃったの?」
『たまたま森の木が尖っていて、犯人は、背中にその木が刺さった…。
その時、まだ助かったかもしれないのに…俺は…。』
Bloodは、悪くないと思う。
相手は、殺人犯だ…。
正当防衛だと思うけど…。
『俺は、“血”を見てしまった。その後は、あまり覚えてない…。
だけど、血を飲んだ…という事は、分かった…。』
その頃のBloodは、まるで今の僕みたいだ。
今まで、自分を責めてきたんだろうな…。
「Bloodは、悪くないよ。犯人は、自分のせいで死んだんだ…。」
『結月…。犯人は、次の朝…遺体で見つかった…。見つけたのは、散歩していたシャーロットだった。』
「シャーロットさん…。」
『どうして、遺体を別の場所に移動させなかったのか…。シャーロットは、その後…寝込んでしまった…。』
だから、Bloodは自分のせいで病気になった…と言っていたのか…と分かった。
「だけど、シャーロットさんは…Bloodを待っているよ。」と僕が言うのと同時に、『ゴホッ…』と咳の音がした。
「Blood、咳の音が…。」と言いながら、部屋を見た僕は、衝撃を受けた。




