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キミからの電話
しばらくあいつについて考えていたら、電話が鳴った。
『♪僕はキミを-』
急いで通話ボタンを押して、電話に出た。
「も…もしもし?」
『あっ、結月くん。彩織だよ。』
彩織ちゃんは、いつもメールなのに…電話をしてくるとは珍しい。
「どうしたの?」
『うん。腕、大丈夫かなぁ…と思って。』
「大丈夫だよ。彩織ちゃんの手当てのお陰だよ。」
『良かった…。今から、家に行っても良い?』
昨日あんな事があったばかりだし…、僕が彩織ちゃんの家へ行こう。
「危ないから、僕が彩織ちゃんの家へ行くよ。」
『ありがとう。待ってるね。』
「うん。」
電話が終わり、僕は急いで支度をして彩織ちゃんの家へ向かった。
その時、僕を見ながら『あいつが…。』と呟いていた人がいた事など、気付いていなかった。