Blackの話③
『だけど、何故か目が覚めてしまった。
重い体を起こして、周りを見渡すと…酷かったよ。
殺された村人がたくさん転がっていて…血の海だった。
女の子も、血だらけで倒れていたよ…。
その光景を見たくなくて、森の中にある洞窟へ入った。僕は、逃げたんだ…。』
「Blackが悪い訳じゃないと思う…。
Blackは、守ろうとしていた。」
悪いのは、そのヴァンパイア達だ…。
『ありがとう…。それから、洞窟の中で何日も何日もヴァンパイア達を恨み続けた。
復讐をしようと決めた僕は、洞窟から出た。』
「そのヴァンパイア達は、どこに…?」
『きっとあの後、どこかに行ったんだと思う…。』
そのヴァンパイア達がどこかにいるなら、僕も許せない!!
「そっか…。その後は、どうしたの…?」
『ある日、村人の家を通りがかったんだ。
その家は、入口にすぐ鏡があった。
そこで、自分の姿を見た僕は、驚いたよ。
真っ白だった体は、真っ黒だし…目だって…クリーム色だったのに…赤く染まっていた。』
「ヴァンパイアに噛まれた影響…?」
『それもあると思うんだけど、恨みでそんな風になったんじゃないかって…Bloodは言ってた。』
そんな…。
Blackは、幸せな日々を壊されただけじゃなく…自分まで壊されたなんて…可哀想だ。
「Black、大変だったね…。そういえば、Bloodとはどこで知り合ったの?」
『ちょっと待って…。喉渇いちゃった…。』
さっきから、ずっと話しているからかな…と思い、トマトジュースを差し出した。
『ありがとう…。休憩しよっか。』
「うん…。」
Blackの過去は、今聞いただけでも…大変だったんだな…という事が分かった。




