Blackの話②
『僕は、ある村で暮らしていた。そこは、人間も動物も仲が良かった。』
村って、どこだろう…?
『僕は、1人の小さな女の子が大好きだった。その子は、長い髪を三つ編みにしてて、黄色い真ん丸な目で…僕を見ていたよ。それまでの僕は、友達なんていなかったから…友達になれて嬉しかったなぁ…。
その子は、僕の事を“うさちゃん”と名付けてくれた。』
その後、何かあったのだろうか…。
Blackは、涙ぐんでいるように見える。
「Black…?」
『あっ、ごめんね…。』
「辛いなら、話さなくて大丈夫だよ。」
『大丈夫。僕は、今でもあいつらを憎んでいる…。』
悲しい顔をしていたBlackが、赤い目をギラギラさせて怒っている。
「あいつらって…誰なの…?」
『人を殺すヴァンパイア…。ヴァンパイアには、2つタイプがあるみたい。
人間の感情を持っているタイプと、自分の欲求を満たすためなら…手段を選ばないタイプ。僕達は、どうして…そのヴァンパイアに当たっちゃったのかな…。』
「ヴァンパイアに、種類があるなんて…初めて聞いた。」
『あっ、話を戻すね。5年前のある日、僕は村の近くの花畑にいた。
女の子が好きそうなお花を見つけて、摘んでいたんだ。
そしたら、村の方から悲鳴が聞こえた…。
慌てて村に帰ると、何人かのヴァンパイアが…村人の血を飲んで殺していた。
女の子も捕まっていて、今にも殺されそうになっていた…。
それを見ていた僕は、ヴァンパイアに噛みついて…女の子を離そうとした…。』
そこでBlackは、急に黙って俯いた。
「Blackは、その子が大好きだったんだね…。」
僕にも、その気持ちは分かる。
大切な人を守りたい…という想い。
『うん、大好きだった…。そこで僕は、他のヴァンパイアに噛まれて…血を飲まれて…捨てられた…。』
「酷い!!自分達の為に、人や動物を殺すなんて…おかしいよ…。」
『やっぱり、結月は良い人だね。』
僕は、Blackが恨んでいるヴァンパイアと同じなんだよ…。
それなのに、どうして良い人なんて…言うの。
「…。」
『僕は、その時…死んだと思っていたよ。』と空を見上げてBlackは呟いた。
その後、何かが起こったんだ…という事は…分かった気がした。




