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少しの変化
次の日、腕の傷の具合を見てみた。
「塞がってる…。」
昨日噛まれたはずなのに、傷はきれいに塞がっていた。
腕を曲げてみても、痛くない。
おかしいなぁ…と思いながら、喉が渇いたので冷蔵庫を開けた。
「…。」
僕は、そこであるものを見て動けなくなった。
それは、真っ赤なトマトジュース。
昨日までは、そんなに好きじゃなかったはずなのに…今は飲みたくてたまらない。
他の部分も何か変わったのか…と急いで鏡を見に向かった。
鏡の僕は、今までと同じ黒の髪に少し茶色がかった目だった。
「良かった…。」
何が良かったのか分からないけど、そう呟いていた。
その後は、昨日僕を噛んだあいつについて考えていた。
一体、あいつは…何だったのだろう…と。