屋上②
『どうしたの?』と空から声が降ってきた。
『Black、急いでトマトジュースを買って来てくれ。』
赤いマントを羽織っている黒い物体が、Bloodの前に降りてきた。
正直、そのマントで余計に発作が…出そう。
『分かった!!早く行かないと、僕食べられちゃいそうだし…。あとから、よろしくね。』
『ああ…。』
黒い物体は、Bloodの返事を聞いてすぐどこかへ行ってしまった。
半分意識がないけど、あの黒い物体は何だろう…と思うと、少し意識が戻った気がした。
「Blood、今のは…?」
『あとから説明する…。今は、ゆっくりしてろ…。』
「う…ん。」
壁にもたれ掛かって、青い空を見上げる。
『この状態だと、講義は無理だな。
後で、クラスメートと教授には言っておく。』
「…ありが…とう。」
Bloodは、優しい奴だなぁ…と思っていたら、『買って来たよ!!』と声がした。
『ありがとうな…。』
Bloodが紙コップに、トマトジュースを注いで飲ませてくれた。
一口、入れた途端…発作は落ち着いてきた。
「ありがとう…。」
『良かったぁ…。僕、急いでスーパーに行ってきたんだよ。』
僕の目の前で話す黒い物体は、耳が長くて、目は赤く、人の言葉を話せるらしい…。
「あ…ありがとう。」
『僕は、うさぎのBlack。Bloodから、話は聞いているよ。』
「うさぎ…?本物…?」
黒色のうさぎっていたっけ…?それに、話せるんだっけ…?僕は、夢でも見ているのかな…。
『夢じゃないよ。僕は、本物のうさぎだよ。触ってみて…。』と僕の手を取り、自分の体を触らせた。
温かくて、ふわふわしている。
このうさぎは、人の心が読めるみたい…。
『ねっ、温かいでしょ…?』
「うん…。」
そんなやり取りをしている僕達を見て、Bloodは『じゃ、俺は教授の所へ行ってくる…。』と言い、屋上を出て行こうとしていた。
「迷惑かけて、ごめん…。」
『大丈夫だ。Black、あとはよろしくな。』
『分かった!!』
バタンとドアの閉じる音がして、Bloodは出て行った。
僕は、うさぎのBlackと2人きりになってしまった。




