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秋の編入生③
皆に分からないように、頭の中でBloodへ話しかけてみた。
“Blood、話がしたいんだ。落ち着いたら、屋上に来てくれないか…?”
Bloodは、気付いたのか周りをキョロキョロしている。
そして、少し遠くにいる僕に気付いたらしく…返事が返ってきた。
“分かった…。”
Bloodと話をするなら、橘には先に教室に行ってもらおうと思い、こう言った。
「あっ、僕…忘れ物したから…取りに帰ってくる!!」
『分かった。教授には、説明しておくから…ゆっくり来いよ。』
「よろしく!!」
人が良い橘を騙すのは、申し訳ないけど…今すぐBloodと話をしないといけないんだ…。
屋上へ行く道は、美術室の前を通るのが…近道なはず…と思い、行く事にした。
その時、別の道を通っていたら…僕はあんな事にはならなかったはず…。




