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いつもの朝
次の日、僕はいつものように彩織ちゃんの家へ迎えに行った。
また、傷付けたいと思ったら…と考えたけど、急に行かなかったら彩織ちゃんはおかしいと思うはず…。
内心、ヒヤヒヤしながら…いつもの道を歩いた。
「彩織ちゃん、おはよう。」
『あっ、結月くん!!具合は、大丈夫…?』
彩織ちゃんは、ちょうど戸締まりをしている所だった。
「うん…。」
本当は、大丈夫かなんて分からなかったけど…頷いた。
『今日の講義は、何するの?』
彩織ちゃんの声を聞いていたら、少しは明るくなれた気がした。
ありがとう…と思いながら、返事をする。
「今日は、月について勉強なんだ。」
僕は、天体学部にいる。
小さい頃から、星や月を眺めるのが好きで…もっと知りたくなって、この大学に入学した。
『月についてかぁ…。私も、聞きたいなぁ…。』
彩織ちゃんは、天体の中でも月が1番好きなんだって…。
どうしてかな…?
「彩織ちゃん、月大好きだもんね。」
『うん!!』
2人で話していたら、僕達と同じくらいの男の人が、電柱の近くに立っていた。
その人が、誰なのか…分かるはずなかった…。




