星空公園で…②
空を眺めていたら、5分もしない内に声が聞こえた。
“分かった…。”
その声は、どこか沈んだように聞こえた。
何かあったのだろうか…と考えていたら、公園の入口に紺色のTシャツにジーンズを着た男が立っていた。
あの人、何だろう…?
僕の方に向かって歩いてきているような気がする…。
いざとなったら、戦うしかないな…と気合いを入れた。
『結月、俺だ。』
俺だ…なんて、いきなり言われても分かる訳ないじゃん…。
オレオレ詐欺じゃないんだし…、ちゃんと名前を言えよ。
「誰だよ…?」
『そんなに警戒するなよ。この間話した、Bloodだ。』
えっ…。
この間と全然格好が違うから…分からなかった…。
この間は、黒いマントを羽織っていたし、目だって赤かった。
それが、今では普通の人と同じ服で…目だって黒い。
「その格好、どうしたんだよ…?」
『普段は、こんな格好だ。目には、カラーコンタクトレンズを入れている。
この間は、話し合いだったから…正装で行った。』
「へぇー。」
Bloodは、謎がたくさんあるなぁ…。
明らかに、人間ではないのに…人間っぽい…。
それに、今僕が思っている事全てに答えてくれた…。
『それで、どうしたんだ…?何かあったんだろ…。』
「実は…、さっき彩織ちゃんを傷付けたいと思ったんだ…。せっかくの、ピアノコンクールだったのに…。」
『そうか…。今日は、ピアノコンクールだったのか…。』
そう呟いたBloodを見ると、悲しそうな顔をしていた。
「Blood…?」
『あっ、何でもない…。たぶん、それは“発作”だと思う。』
「発作…?」
『結月は、まだ血を飲んでいない。だから、血を飲みたくなる衝動がやってくるんだ…。』
「そうだったのか…。発作は、止められないの…?」
『難しい質問だな…。結月の場合は、まだ理性も保てているし、止めてくれる子がいる…。
だけど、いつかは我慢出来なくなるかもしれない…。』
「そんな…。」
まだ僕は、何にもしていないのに…。
学校だって、バイトだって、夢もまだ叶っていないのに…。
それに、大切な彩織ちゃん…。
そんな事を思っていたら、Bloodがこう言った。
『一つ、良い案がある…。』
「何…?」
『俺が、お前と一緒にいる事だ…。
明日、お前の学校に編入する。』
いきなり何を言い出すのかと思えば、学校に編入する…?
「えっ!?ちょっと、待てよ…。皆に、何て説明するんだよ…。」
『大丈夫だ。』と自信満々な表情をするBlood。
僕には、不安しかなかった…。




