第七話
ーーーーー帝都・東京・皇居ーーーーー
「失礼致します。」
室内に入ってきたのは情報大臣のカナリス元陸軍大将である。(大臣職になるのに少将では前例が無いとのことから、急遽特進させられ情報省に編入したのである。)
「どうであった?」
「は、陛下の艦艇派遣の英断により、発症している者は多いものの死者は数名に止まっているように御座います。後は佐世保海軍病院からの報告では、彼等は我々と異なる民族のようであります。」
異なる民族?それはどういう事だろう、そう思い訪ねるとカナリスは胸のポケットからメモを取り出し確認しながら話す。
「陛下の御前にて確証なき言を伝う事など出来ようが御座いません。申し訳御座いませんが紙面を確認しながらの報告となりますがよろしいでしょうか?」
「構わん、不確定な事柄は排除せよとの命を徹底してくれているのだろう?朕は嬉しく思うぞ。」
虚偽の報告により日中戦争は泥沼化してしまった、その事から情報技術省を設立し虚偽の報告を極力排除する事としたのである。さらに天皇直轄の組織としたので陸軍海軍からの干渉も防いでいる。
「では失礼致しまして、異なる民族というのはどうも人間では無いようなのです。と申しますのもある者は耳が尖っていたり、またある者は体の一部が獣のようになっていたりという具合です。」
「ふむ、正に異種族というべきか。しかし病気等は我々と同じものにかかるのか?」
「その事に関しましては、現在佐世保の海軍病院に保護しております者達からの処置の報告があります。どうも天然痘を発症しておるようですが幸いワクチンにて沈静化出来たとの事に御座います。この事から大部分は我々と同じかと思われます。」
「そうか、では薬の増産等も指示しておいてくれ。彼等の国と国交を結んだ際一番必要になるだろう、当然国民の分は優先して確保するように。」
「御意に。」
「しかし不幸中の幸いだな」
「どういうことでしょう?」
「考えてみるがいい、我々は彼等を保護し治療をしたのだ。最低限感謝はしてくれるだろうし、国交を結ぶにしても友好的な関係を築けるはずだ。第一印象としてこれ以上のことは望めまい。」
「確かにその通りです。では国民に知らせましょうか?」
「それは国交が結べてからで良いであろう、国民に道徳心を育ませているがトラブルは少ない方が良い。」
「かしこまりました。」
この会談により日本帝国は他国に目を向けることとなる、何せ内需だけでは経済が行きづまる事は明白だったからだ。