第二話
少し書き直しました。
「さて、誰か入ってくれば何かを聞けるのだが・・・。」
そう考えていると扉がノックされ、初老の男性が入ってくる。
「失礼いたします。・・・陛下、お目を覚まされたのですね!」
「目を覚ました?私はどうしたのだ?」
「構わんよ。で、誰だったかな?」
内心ドキドキしながら話し掛けると
「陛下、私をお忘れですか。幼少の頃より御世話をしておりますのに。」
大泣きしながら訴えてくる、適当に頭でも打った事にでもしておくか。
「すまん、寝ぼけていて頭を打ってな。少し記憶が混乱しておるのだ。」
「なんと!それは一大事です、すぐに医師を呼んでまいります。」
「構わん、別にそこまでせずともよい。それでその方の名は?」
「はい、鈴木貫太郎めにございます。」
帝国海軍の重鎮か、だが今は関係ない。
「そうであったな、思い出したぞ。」
「陛下、御身をお考えになられますれば何卒医師の診察をお受けくださいませ。切にお願い致します。」
確かに一理あるか。
「分かった、それと私が寝ている間に何があったかの報告を頼む。」
「かしこまりました、至急医師を呼んで参ります。」
そう言って猛烈な勢いで出ていった。これからの事を考えたいが現状が分からない以上徒労に終わりそうだから止めておこう。
結局主治医が診ても『大事なく至って健康にございます。』とのことで鈴木侍従長はようやく納得したようだ。
「では改めて今何が起きているのか教えてくれるか?」
「はい、それが多岐に渡っておりまして何からお話をすべきやら臣もほとほと参っている次第にございます。」
「そうか、なればこそ方針を明確に決める必要があろう。各大臣、それと山本を呼べ。」
「かしこまりました。」
すぐに退室していった鈴木貫太郎侍従長は重臣達を呼びに行った。
ーーーーー半日後ーーーーー
「お待たせいたしました。」
東條英機が最後に入室してくる、山本五十六、吉田茂、東郷重徳等はすでに集まっていた。
「お前たちよく来てくれた。」
「陛下のお召しとあらば何事にも優先されますからな。」
吉田茂が恰幅のよい体を揺らしながら話す。
「その通りですな、しかし陛下、国内は未曾有の事態となっていることを臣下として御報告させていただきます。」
東條英機が生真面目な顔で発言する。
「そうであろうな、陸軍と海軍はどうなっておる?」
まずは東條が話し出した。
「まずは頭に米英との戦いを皆が経験した記憶があるそうであります、不肖この東條めも、インパールで歩き戦ったかのような経験をしておりまする。先ほどそれらの指揮をとった輩を憲兵に捕縛させに参りました、そうせねば兵の気持ちも収まりませぬ故。」
これで牟田口や辻、服部等は処刑できるか。
「海軍も同じにございます、南雲を含め頭が古く近代戦に対応できぬ老害が多く陸海の連携を妨げました。これを気に一掃する予定にございます。」
「そちらも責を取るつもりか?東條、山本。」
「・・・お気づきでございますか、誠にその通りにございます。このような愚物が蔓延るのは臣の不徳に致すところにございます、腹を召そうと・・・。」
「私の真珠湾攻撃により帝国の存亡の危機を招きました、責任をとらねば死んでいた者達に申し訳が立ちませぬ。」
双方ともに責任感が強く、また両軍の最高責任者
「ならぬ、責があるならば生きて果たせ。あのような行動を阻止するには上が完全に変わる必要がある。御主らがその先駆けとなれ、終わったと朕が判断するまで死んではならぬ。良いな。」
「かしこまりました、陛下。」
床に涙が溢れる、そもそも東條と山本は天皇に対する忠誠心が特に篤い者の一人だ。東條は味方が少なかったため上手く動けなく山本は無能な老害と艦と運命を共にするという考えのせいで優秀な指揮官や艦長達が死んでいった。これらのせいで足が引っ張られたことにより敗戦したとも言えるだろう。(理由は他にもある。)
「これからの考えを伝える、この方針に異を唱えるものは逆賊とせよ、東條、山本には近衛兵、及び錦の旗の使用を許可する。」
「「御意。」」
かくして以下の勅命が下された、反抗したものも居たには居たが部下達が付いてこず捕縛され軍法会議後に退役処分にされた。
大日本帝国指針大綱
1 公用語は第1公用語を日本語に、第2公用語をドイツ語とし第3に英語とし各学校にて教育を開始する。
2 大日本帝国工業規格を制定する、これはドイツの物と同じくメートル/グラム法とする。この規定に値しない物はネジ1本とて使用してはならない。この規定に違反している三菱重工は政府より工業機械を有償支給するものとする。
3 陸海軍は解体し国防軍とする、その上位に天皇直属の統合作戦本部置き暴走を防ぐ。指揮下に陸軍、海軍、空軍、揚陸軍を擁する。これまであった軍学校は全て国防学校に改名する。
4 情報省を設立する、情報の軽視が敗戦に繋がったためである。予算をとられることのないように独立した機関となる、陸軍情報局、中野学校、海軍情報局等もこちらに編入する。役割は平時、戦時を問わず内外の情報を集めることを使命とする。
5 保安省を設立する、危険な所での警備を行うが他国に刺激を与えないため比較的軽微な装備に止める。あくまでも警備ということなので過度な装備はない。
6 兵需省を設立する、方針をはっきりさせ陸軍と海軍で同じような航空機等の開発を抑制するためである。
「以上の6つである、すぐに実現するように努力せよ。」
「かしこまりました。」
三菱に工作機械の変更を命じたのはイギリス製だからです、この当時イギリスはインチ/ポンド式の工作機械なのでアメリカ製の中島との装備の互換が効かないということがありました(零戦の部品の共食いが出来ない等)。
辻参謀達は全員銃殺刑になりました。(関東軍司令官植田謙吉大将、参謀長磯谷兼介中将等)