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これって魔法?

本日分投稿いたします。


お待ちかねかわかりませんが魔法?の出番です、楽しんでいただけたら嬉しいです

 コウの大きなおなかの音に気付いたのか、


「がっはっは!どれ、もういい時間だし食事の用意もできておるだろう、食堂のほうに行こうじゃないか!」

「ああ、すまないがそうしてくれるとありがたいな」


 ミリアを軽くあしらいつつ、こちらに向かってそう言うと、アーネストはさっさと館のほうに足を向ける。


「団長!・・・もうっ!・・・コウさん、こちらです・・・ついてきてください」


 ちらりとこちらを見てコウのことを促すと、いつものことなのだろう団長についていくミリア。

 それを見てついていくと、裏口から中に入っていき、さらに少し歩くと食堂のようだ。


「なかなかいい匂いがするな、これは楽しみだ」


 食堂に近づくにつれ漂ってくる匂いに、食欲を刺激されコウのおなかからまたもすごい音がした。


「がっはっは!なかなかやんちゃな腹の虫だな!すごく鳴いておるわ!」

「さすがに昨日こっちに来てから何も食ってないとなるとな・・・」


 軽く言葉を交わしながら食堂に入っていくと、どうやらこの館の主カインと、その娘アルメリアは席についており、食事もあとは運ぶだけのようだ。

 どうやらアーネストとミリアは同席することが許されているらしく、すぐに席に着くようだ。

 王侯貴族の食堂にありがちなくそ長いテーブルなどではなく、10名ほどが席に着けるくらいの丸いテーブルで、コウは意外に思った。

 そして俺も一緒でいいのかねぇ?と思いつつ、何も言われないので空いている席に着く。


「君はアルメリアの恩人であり、私にとっても客だ、遠慮することはないよ・・・それより、昨日はよく休めたかな?」


 こちらの疑問を察してくれたのか、そういってくれたので気にしないことにして、コウは答える。


「ああ、思っていたより疲れていたようだ。気が付いたら朝だったよ」

「そうか、ゆっくり休めたのならそれでいい、食事も大いに期待してくれてかまわないよ」


 と、雑談をしていると、昨日の執事クロウとメイド数名が食事を運んできた。

 やはりというかなんというかここの食事はパンが主食なのか山盛りとなった様々なパンがテーブルの中央に置かれる。

 手を伸ばせば届くところに山盛りとなったパンが置かれ、目の前に各自のスープやメインとなるだろうソーセージの盛り合わせのようなもの、サラダなどが配膳される。

 料理が出そろったのか、この館の主であるカインが音頭をとるようだ。


「それでは、日々の糧を得られることに感謝を・・・」

「「「感謝を」」」


 こちらでの「いただきます」にあたるのだろう目を瞑り、数秒置く。

 コウもそれに倣い、感謝を、とつぶやきながら目を瞑り、心の中で「いただきます」と言う。


 そして食事に手を出し始める一同に倣い、コウも食事を始める。

 その味に意外にも驚いた。

 前の世界の食事に勝るとも劣らない出来栄えであったのだ。

 正直、あまりこの世界での食事に期待はしていなかったが、これならば文句などありはしない。

 コウは次々にパンを手に取り、胃に収めていく。


「どうやら気に入ってもらえたようだね」

「がっはっは!さすがによく食うわ!俺も負けていられんな!!」


 にこやかに声をかけてくるカインとちょっとうるさいくらいの声でしゃべるアーネスト。

 アーネストは言葉の通り次々にパンを食らっていく。

 コウも負けじとさらに食べる、食べる、食べる。

 いつしか中央の山盛りだったパンはなくなっており、他の食事もあらかた食べ切り、一息つくと。


「驚いたな、アーネストがいても半分は余るくらいの量だったんだが・・・」

「コウさんすごいです・・・」

「団長並とか信じられませんね・・・」


 なにやら各々つぶやいているが、久しぶりのうまいと思える食事にコウは満足していた。


「がっはっは!気に入ったぞ!コウ!本気で騎士団にほしくなってきたわ!!」


 どうやら気に入られたようだが、コウはすげなく返す。


「昨日も言ったが今のところ、そんな予定はないな」

「がっはっは!ならばここにいたくなるようにこちらは手を尽くすとしよう!!」


 食後、しばし歓談していると、カインが席を立つ。


「さて、私はそろそろ仕事に戻らせてもらうよ・・・それでは」


 食堂を退室し、仕事に向かうであろうカインを見送った後、アーネストが声をかけてくる。


「コウよ、昨日の約束を覚えているか!!昼前に俺が魔法の特訓をしてやろう!」

「ああ、それはありがたいな、ぜひ教えてもらいたいね」

「私も見学していてもいいですか?」


 俺とアーネストのやり取りの間にはいってくるアルメリア。


「俺はかまわんが・・・」

 

 ちらっとアーネストを見ると


「がっはっは!お嬢がいたほうが怪我も治せるし、俺は賛成だぞ!!」


 怪我をする前提か・・・まぁ、見た目からして荒っぽそうだしな、俺もその方がやりやすい。

 アーネストはライオン顔の獣人であり騎士団長という肩書に負けず劣らずの巨漢である、2mはあるだろう身長に鍛え抜かれ、隆起する筋肉は見事というほかない。

 とても魔法を使えるような見た目ではないんだが・・・


「それでは、早速朝の訓練場に向かうとしよう!!」


 のっしのっしと食堂を退室し、先ほどの訓練場に向かうアーネスト。

 それを追いかける形でミリアがついていく。


「私たちも行きましょう?」

「ああ、そうだな」


 アルメリアに声をかけれられて、連れだって訓練場に向かう。

 先についていたアーネストは広場の中央で腕を組みどっしりと構えて待っていた。


「がっはっは!よく来たな、コウ!」


 なんだかすごく楽しそうなのだが・・・と、なんだか少しいやな予感がする。


「まずは俺の魔法を見るがいい!」


 アーネストはそういうと何やら念じる感じでしばし目を瞑ると


「おおおおぉぉぉぉ!『ストレングス』!!」


 そう叫ぶアーネストを見ると、鍛え抜かれたたくましい腕が赤く光っていた。

 そしてアーネストはすぐ横に突きささっていた、アーネストの身長と同じくらいの長さの大剣を引き抜き、片腕で振りかぶると、数秒置いて振り下ろす。


『どごおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!』


 アーネストの目の前の大地が裂け、隆起し、十数メートル先までその現象は起きる。


「むちゃくちゃだな・・・っていうかこれ魔法っていうのか・・・?」

「ちゃんと魔法ですよ、正確には腕が赤く光るまでが、ですけど」


 ミリアが脇に立ち、耳を押さえながら補足してくれる。

 ミリアの耳は頭の上についている犬のような耳なので、なんだか叱られて頭を抱えているようでちょっとかわいいな、などと思ったことは決して口には出さない。


「がっはっは!どうだ!?俺の身体強化魔法は!!」


 なんだか満足げに振り返ってドヤ顔のライオン。


「魔法って感じじゃない事は確かだな、イメージが違う・・・」

「がっはっは!これが俺の魔法よ!これ一つで俺は戦ってきたからな!!」

「っておっさんの魔法それだけかよ!!」


 衝撃の事実に驚きを隠せないコウ。

 ミリアがアーネストの言葉を補足する。


「団長はあの魔法とその腕のみで、一時期王国騎士団第2師団長まで上り詰めたのですよ!」


 新たな衝撃の事実、だが、その第2師団長がなぜ今こんな所にいるのかと問うてみると、


「そんなもの!親友である男についてきただけのことよ!」


 あっさりと答えてくる・・・親友とはカインのことだろうが、そんな簡単にやめられんのかね?


「まぁ、いいさ、それで? 魔法の使い方を教えてくれるんだろう?」

「おう!!魔法の神髄はイメージだ!」


 ・・・ん?それだけ?


「はぁ、団長は・・・すごい人なんですけどね・・・」


 つぶやき、嘆息するミリア。

 そしてコウに向かって補足説明をしてくれる。


「イメージが重要なのは確かです、しかし、まず魔力を感じることができなければイメージを具現化、つまり魔法の発動をすることができません」

「その魔力ってのはどうやれば感じることができるんだ?」

「そんなもの!ググッとやって、ふぬぅ!で分かるだろう!?」

「わからんわ!!おっさんは黙ってろ!!」


 いわゆる感覚派というやつか、こういうやつは自分で使う分には天才的だが教えるとなると全く駄目だな。


「すまんがミリアに頼むからおっさんはあっちいってろ」


 しっしっと追いやるように手をふるとうなりながらも渋々離れるアーネスト。


「悪いけど、続けてくれるか?」

「わかりました。団長が人にモノを教えるなんてことができないのはわかっていましたから」


 どうやらあらかじめコウに魔法を教えてくれるつもりだったようだ。

 この世界では魔力が空気中に確かに存在しており、それを感じとると魔力をコントロールすることができるようだ、魔力を操り、自分の波長に合わせることで自分の身体の中に取り込むことができ、蓄積された魔力ををイメージする際に消費するらしい。

また、人それぞれ魔力の許容量といったものがあり、それを超える魔力は蓄積できない。

 しかし、訓練次第ではその許容量は増やすことができるとのこと。

 詠唱はイメージがうまくできない人が口に出してつぶやくことでイメージを固め、発動させるためにするようだ。

 森であったボスがそうなのであろう、口に出してつぶやいていたのを、アルメリアが聞き取り、こちらに注意を促してきたというわけだ。

 また、この頭の中でイメージするという使い方は過去に来た『迷い人』の一人が確立した方法だそうで、その人物は、常々、「魔法はやっぱり無詠唱だよね!」というのが口癖だったらしい。

 その人物はすでに故人ではあるが、いまだかつてないほどの大魔導士として名をはせたとのこと。今のところ、彼を超える魔法使いはいないようだ。

 そして魔法に適正といったものはないようで、イメージができ、それに伴う魔力があるのであれば、たいていのことは具現化することができるとのこと。

 魔法の使い方をあらかた教わったコウは、まず魔力を感じ取ることから始める。

 この世界に来た直後、自分の体に何やら絡みつくようなものがあったことを思い出したコウは、あれを体になじませる感じが魔力の蓄積かと考えて、以前行ったことをそのまま、今度は意識して自分の周りに集めるようにしてみる。


「こんな感じかな・・・とこれは確かにおっさんのいうこともあながち的外れじゃなかったか・・・」


 そのつぶやきが聞こえたのか、アーネストが嬉しそうな声を上げる。


「そうだろう!そうだろう!こうぐわっとやってどーんだ!」


 なんかさっきと違うような気もするが・・・っとなんだか魔力が集まってきたような感じがする。

 ・・・しかしなんだかすごい勢いで俺の周りに・・・と考えていると


「なっ!?これは・・・!?」

「ぐおっ・・・すごい濃密な魔力だな・・・」

「コウさん・・・・すごいですね・・・」


 アーネストの言葉の通り、思った以上の魔力が集まり今や視認できるほどの魔力がコウの周りに集まっていた。


「とんでもないな・・・これは普通・・・なわけないよなぁ・・・」


 思ってた以上に魔力がコウの周りに集まる。

 これは、コウが無手にて武術を極めたことで、自分の身体の力を精密に操ることができるその技術が、魔力を集めるといったことに作用したためであり、その鍛え上げられた身体と『迷い人』という特殊性が、魔力の許容量を大幅に底上げされていたためである。


「ちょっと試しに使ってみるか」


 集まった魔力を消費し、イメージする。

 イメージはさっきのおっさんの一撃。

 そして自分の持つ数ある技の中で適しているであろう一つを選ぶ。


「さて、どんなもんかねっと『震脚』」


 身体の力を反対の足から体を巡り、増幅された力をもって放つその脚技は・・・


『ごごごごごごごごごごごごごごおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!』


 わりと軽い気持ちで放ったそれは、さっきのアーネストの一撃を軽く上回り、十数メートルどころか、直径100メートルはあるであろう訓練場を真っ二つに裂き、その先にある兵舎をも巻き込み・・・


『がごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!!』


 兵舎を全壊させることでようやくその猛威を収めた。


「「「・・・・・」」」


 あまりの出来事にコウ以外の人間は口をかぱっと開けたまま呆けることしかできず・・・


「うわぁ・・・やっちまった?」


 コウは自分のしでかした出来事?に冷や汗をかきながらつぶやいた。






いかがでしたでしょうか?


ちょっとやりすぎな感じもしますが、やっぱり主人公は最強だよねという個人的には大好きな展開ですが・・・タグ増やしたほうがいいかなぁ・・・?

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