蜂達の行く手を阻む、蟻の大群
「ハァ…ハァ……きりが無いな…」
「蛆虫がぁ!」
「少しキツいかも……」
流石にここまで来れば休めども体力は全然回復しない。精神的にも身体的にも限界の3人だった。
「あのヤロー…俺らをハメやがったな…帰ったらぶっ殺してやる…その為にはここを突破しねぇとな!」
「大群のゾンビが少し減ってきている!今なら走っていけるかも!」
全力で走る3人、だったが結月が足を抉いてその場に倒れ込む。後ろから追いかけていたゾンビが結月目掛けて鋭い爪を振り下ろす。
死を覚悟した結月。しかし、何も起こっていない…
目をあけた。そこにはゾンビの爪が身体を貫通してその場に脱力している陸大の姿があった。
「陸大!?なにやってるの!?」
「頼む、平田と一緒に中川を助けてくれ…」
陸大の身体は粉々に砕け散り、虚空へと消えて行った
。走った、全力で走った。涙が止まらない、拭っても拭っても溢れてくる涙が視界をぼやけさせる、また転びそうになる
「あっ…」
倒れ込みそうになった自分の手を誰かが握ってくれた。
「生き残るんだろ?急ぐぞ。」
「うん…。」
平田の手を握り締め走る。その手は温かくてまるで現実世界のようだった。
そして2人は死者街を抜けた。