手折られた薔薇は、最後まで相手に棘を刺す
静まり返る教室。初めの展開に戻った。
ここで選ばれた3人はその他の生徒の命を背負って行動しなければならない。その辛さを全員は理解していた。
「そんな……中川君を助けたい…でも、わたし達が死んだら皆が死ぬなんて…」
「…いくら何でも重過ぎる…心が病みそうだ…」
数秒の静寂、でもそれはとても長く感じられた数秒だった。しかしその静寂は陸上部の鈴木陸大によって途切れた。
「おい、オッサン!俺と平田と安藤で行くよ。中川助けたいし、このまま助けないで全員死ぬのはごめんだしな。」
平田と安藤の肩に手を置く。平田と安藤も覚悟を決めた。他の生徒も3人に命を預ける覚悟を決めた。
「そうだな。俺らで助けに行くか!」
「そうだね!」
「皆、安心して3人で行ってくる、そして4人で帰ってくるよ。」その陸大の笑顔は緊迫した空間に閉じ込められた生徒全員の心を和らげた。
「覚悟はできたか…じゃあ転送するぞ。good luck」
3人は足元に現れた魔法陣に吸い込まれていった。
「よし。消えた。」
「!?」
「あの3人は完全に実験台だ。このゲームはゲームでありゲームじゃない。あの3人は多分全滅するだろう、まぁ約束通り君らは3人が帰ってくるまで拘束させてもらうよ。帰ってくるまで…な。ククク…」