赤き日常、芽吹く新たな花
「ホラ、来いよ。真之助ェェ!」
正直めちゃくちゃ怖い。泣き出したいし、全力で逃げたい。でも、ここで逃げたら…ここで泣いたら…誰がこいつを…俺しか出来ない、俺しかこの悪を、この不要な悪をこの世界から取り除けない。だから、俺はこいつを『殺す』
「そっちから仕掛けてこいよ、タイマンはろって言ってきたのはテメェだろ?ホラ、来いよ、オッサン。」
「ほう。良いだろう、その顔もいつまでやってられるかな?」
奴の自慢の銃の銃口が俺に向いた。
泣き出す女子男子生徒、必死に止める先生方。
そんな雑音はもう、全く聞こえてなかった。
『バァン!』
訪れる静寂、男は目を疑った。何故ならしっかり狙いを定め放った銃弾が彼に当たっていなかったからだ。
「な!?銃弾を避けただと!?そんなの並の人間にできるハズが…!」
「おい、さっきまでの殺意に満ち溢れた顔はどうした?」
一瞬で男の懐に忍び込み、腹部を思いっきり突き上げる。
「くぁッ!」
バランスを崩した男の顔面に拳をめり込ませる。
男を倒して盛り上がってる奴らを尻目に男の手から銃を盗み手に取った。男の脳目掛けて銃口を向ける。
「中川!やめろ!それ以上やったら…お前!」
知らねぇよ。でも、俺はほんの30分くらい前に出会った男を殺そうとしている。何でここまでしようとしているのか、そんな感情が俺の脳内に侵入し、邪魔を仕掛ける。でも、別にこいつは生徒を殺すかどうかは分からないじゃないか!先生の言う通りか、と銃をおろした瞬間男の口が歪んだのが見えた。
「!?…しまった!!」
『ダァン!!』
胸から出てきた2丁目の銃の銃弾が俺の胸を貫いた。
『糞ぉ…油断した……』
真っ赤な液体を撒き散らしながら中川はその場に倒れ込んだ。