赤い薔薇と2匹の雀蜂
「とうとう来たか……蜂共め…」
「えぇ…中川君を返してもらいますよ?」
「そう簡単に渡すものか…」
「いくぞ…」
平田は剣を構え、挑発する。
「お前が剣なら私も剣で立ち向かおう。」
「余裕ぶるなよッッ!」
剣に黒い雷が迸る。相手は動かない。地をも轟かす轟音と土煙が相手の存在を分からなくする。
土煙が去り相手の姿が現す…が無傷で剣を構える黒いローブの弟。
「悪いけど君には死んでもらうよ。」
「させるかぁーー!」
平田を庇って結月が剣を受けた。鮮明に飛び散る赤い液体。
「結月ィィィィィーーーー!!!」
「平田君……好き。」
結月はそう言い残し消滅した。
消滅した結月がいた場所に崩れ落ちる平田。
でも、そんなのはお構い無しに奴は攻撃を仕掛ける。
「平田ァァァーーー!危ない!」
気づいたらそこまで剣が迫っていた。
普通なら死んでる距離、でも今の平田は違った。
友達、大切な存在を失った平田は今までに見せたことのない速さで剣を避け、体制を立て直した。
「覚悟しろ…」
平田の持つ剣が黄金に輝いた。
「…終わりだ!」
「…今だ!!」
削除コードに「aruvelt」と打ち込み、enterキーを押す。
「永遠の絆と愛の斬撃」
土煙が激しく舞い、轟音がなり止まない。
「バチ…バチ…」
ショート音が微かに聞こえる。祈る真之助。
「なぜ…無敵コードが…切れている?」
黒いローブの弟は粉々に砕け散った。
「おっと?逃がさいよ?アルベルト…?」
「え…ちょ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!」
彼の断末魔が鳴り響く。
そして、中川を救い出し、現実世界の扉を潜る。
「おかえりー!」
そこには皆が待っていた。陸大、結月もしっかりと居た。
こうして彼らの長かったような短かったような日常は終わりを告げた。