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王子、登場
―お母様、僕なの?―
微笑んでお母様は言う。
―そうよ、未来の国王様はあなたなのよ―
未来の国王様は僕…。
「ルシア様」
呼ばれて振り向くとリファエルが可愛らしく微笑んで立っていた。
「ごきげんよう」
優雅にお辞儀をする。振る舞いからして王家の人間だと分かる。
「やあ、リファエル。どうしたんだい?」
「今日はお散歩です。そこのお庭のお花が綺麗なので。ルシア様…、王子は?」
「王子は止めてくれよ。一応、次男だからさ」
リファエルは首を傾げた。
「兄がいるんだってよ」
他人事のような言い方だと自分で思う。
「今は…?」
「さあね。生まれて間もない頃、誘拐されたらしいよ。今、捜索中」
「お兄さんのお名前は?」
「ルナ・ザレスタ。正式名は第三五代エストランタ王国国王ルナ・ザレスタ三世」
「よろしければ、お捜しましょうか?一人、思い当たる人物がいるのですが」