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異世界転生ファウスト〜馬車に轢かれて知性無双または異界転生論争の幻視〜ホームズ  作者: ヨハン•G•ファウスト


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6/8

第六幕:出版の悲劇

やあ、君。作家とはなんだろう。

一つの作品が仕上がれば、次へ行かねばならない。ずっと同じ世界の中に、一生いられない。それで、飯を食べなきゃいけない限りーー


第五幕では、ワトソンは自分の作品の正体に気づいた。この作品は読者を幸せにするどころか、女の形をしてたらなんでも構わない恥知らず生産機だった。


だが、彼はその物語を出版社に売った。


ーーなぜかって?


ワトソンが作家だからだーー。

それで食うことにした。

彼の戦争への恐怖は、まだ彼を縛り付けていた。悲劇だった。

全部、戦争が悪いんだーーなので、せっかく考えた物語を売った。

ホームズからの指摘は、一切改善されなかった。


『異世界転生ファウスト〜馬車で轢かれたら知性無双〜』

主人公のジョン・ファウスト・ワトソンの設定は変わらない。

鋭い知性と完璧な身体に、多彩な魔法。そして、知らないうちに女を魅了させるが、好意に鈍感なボンクラの設定まで追加された。

最終的に、ファウストは不老不死をてにいれる。


女神から渡された『鋭い知性』を武器に異世界で無双して、多くの試練を乗り越え、たくさんの美女と共に幸せを掴むという物語なんだ。


だけど主人公は致命的な欠陥品。


死の定義が書き換えられ、

彼は命を軽んじる。

完璧な身体により、

彼は身体によって衝動的に生きる。

魔法によって、

彼の魂は疲弊し、

更に身体の情熱の命じるまま堕落する。

コミュニケーション不全のため、

彼は孤独に苦しみ、

少し優しくされたら、

小間使いにすらなる。

そんな者が物語の中で美化されて、

世の中に出回った。


それが意外と売れて、シャーロック・ホームズの目に触れた。


物語は、ここから再び語られる事になる。


ベーカー街の下宿の221Bの過ごしやすい居間。そこでソファに深く座っているワトソンがいた。

「新作かーー、ふふ、新作ーー」

彼は出版社から『異世界転生ファウスト〜馬車で轢かれたら知性無双〜』の続編を期待されていた。

「魔王との戦いか、やがては亜神との運命をかけたバトルが待つーー」

そこへ、ホームズが部屋の中に入ってきた。

「ワトソンくん。僕らの共通の友人の件について、話があるーー」


ワトソンは、ホームズの方をゆっくり見た。


ワトソンの顔には、恐怖が張り付いていたーー。


(こうして、第六幕は出版で幕を閉じる。)

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