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異世界転生ファウスト〜馬車に轢かれて知性無双または異界転生論争の幻視〜ホームズ  作者: ヨハン•G•ファウスト


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3/8

第三幕:ボクは彼を異世界に

やあ、君。愛されたいと祈るように、別の世界を夢見て嘆く。

そんな悲しみにふけるより、

もっとマシに生きな。


第二幕では、ホームズにより、ワトソンのささやかな夢を踏み躙られた。

死の定義から完璧な身体。鋭い知性すらも、転生者を救うことはない。


ベーカー街の下宿の221Bの過ごしやすい居間。安楽椅子にはホームズが腰かけて、窓の方を眺めているワトソンがいた。

「まだだ。まだ、立ち直れる。

美徳を失った。自制が効かない。

それでも英雄はーーまだそこにいる。」

外では辻馬車が通っていった。

人の気も知らないでーーと彼は呟いた。

「で、だーー」とホームズは再び口を開いた。

「魔法が使えるんだったね。ファウストはーー」と彼は言った。

「そうだよ。火や水、土に風。彼はそれを駆使して、困難に立ち向かう。

試練を乗り越えてーー」とワトソンが続けようとした。

「へえ。で、代償は......なんだい?」とホームズが容赦なく遮った。

「魔法と言えども、犠牲はつきものだ。何かデメリットがあるはずだろ。」

ワトソンは少しだけ沈黙すると、ちゃんと答えた。

「精神が疲弊するんだ。でも、時間が経つことで回復する」と言った。

「おいおい、先生。更に自制が効かなくなったぜ。魂が疲弊する。更に幼児化が進み、身体が好き勝手にやる。トーストとコーヒーでも賭けてもいい。

ファウストを清廉潔白に見せたいなら、彼に魔法を使わせるな。君の作品を低俗に変えるぜ。」とホームズは鼻で笑った。


「とりあえず、彼を異世界に送る。」とワトソンは呟いた。

「よせ、ワトソン。ーー彼を楽にしてやれ。送られた異世界の人々が可哀想だ。まるで森から出てきた子グマを、善意で都会に放つぐらいにね。

始めはいいかもしれない。

だが時が経つにつれ、彼は堕落するーー」

ワトソンの指が窓ガラスに触れた。

「楽にしたら、彼はーー彼はどうなる?女神にも会えず、馬車に轢かれたままだ。」

「それでも、魂は救われる。悪くないさーー」ホームズは、そう言うと旨そうにパイプを味わった。

「まだ言いたいことあるぜ。魔法についてだ......」とホームズは再びニヤついた。

「魔法の制御に関してだ。ファウストがオイボレた時に、魔法はどうなる?僕の予想としては、ーー制御できなくて、完璧な身体ごと木っ端みじん、おさらばさ」と彼は言った。

「彼はオイボレにはならない。永遠の若さと命を得るーー木っ端みじんにはならないよ」

しばらく二人は沈黙した。

ホームズが、パイプから口を離した。

「それはーー非常に不味いな。不老不死かーー」そう言って、ホームズは苦笑した。


「君はーーこの物語のーー素晴らしさを知らないから、否定ばかりする。

きっと、辛い人たちの、救いになる。途中で語られなくても、彼らは、読者は夢見てくれる。幸せだったとね」

ワトソンは震えた。

彼は窓の外を見続けた。

ホームズのニヤニヤが大嫌いだからだ。

「ーーわかったよ。ワトソン。

ファウストを、彼を異世界に送りたまえ。だが責任をとるのは、君だ。」

しばらくして、ホームズは口を開いた。

「それで、異世界のどこに彼を放り込むんだい?火山の噴火間近の場所にしなよ。ケリがつくぜーー」


(こうして、第三幕は犬死にで幕を閉じる。)

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