新しい寝床
ムーンはアールドを寝かせている森へと帰ってきた。
「よしっと。アールドは…まだ寝てるかな?」
それから、落ちてる枝を集めて炎魔法で火をつけた。
バチパチッ――
「ムーン…さん?」
「あぁ。アールド、目が覚めたんだね。」
「ここは…。」
「森の中だよ。」
「けど、捕まってたはず…。」
アールドは少し戸惑った様子で辺りを見渡していた。
「場所が分かったから、迎えに行ったんだよ。」
「ありがとう…ございます。」
ムーンはアールドに対し、少し微笑みながら回復魔法の〈エクストラ・ヒール〉をかけた。
「まだ横になってた方がいいよ。」
「…はい。」
ムーンはもう一度、アールドを寝かせると森の中を探索する事にした。
「そろそろ、雨風をしのげる寝床を作らないと…。」
普段は草の上で直接寝たりしていたものの、そろそろ良い感じの寝床を作りたいと思っていた。
「ほぉ…。いい感じの所だ…。」
少し歩いていると、いい感じの洞窟を見つけた。
そして、ムーンはそこに寝床を作る事にした。
パキッ…トンッ!
「よし!完成ー!」
森を歩きながら拾っていた枝や葉で、暖簾を作り洞窟の入口に掛けたり、装飾をしたりした。
「アールド!引越しするよ!」
ムーンはアールドの所へ戻り、起こしに行った。
「引越し…すか?」
「うん!」
そして、アールドを洞窟へ案内した。
「ここだよ!」
「へぇー。意外と綺麗ですね。」
「私が装飾とかしたんだよー。」
そして、見渡せば何があるか分かるくらい狭い洞窟の中をムーンは丁寧に説明した。
「ここが寝室で、あっちがキッチンとリビングね!」
「は、はい。」
「あ!靴は脱いでね!」
高めのテンションで部屋の中を紹介した。
「そうだー!欲しい部屋があったら言ってねー。」
「分かりました。」
サーッ
気付くと外は暗くなり始めていて、雨が降っていた。
「師匠!」
「なーに?」
「廊下を作って別の部屋も作りませんか?」
「いいねー!じゃあ、壁掘っちゃうねー。」
そう言うと、指先に魔力を集めて壁に向かって撃った。すると、十メートルくらいの長さの円形の穴が空いた。
「どんな部屋作る?」
「落ち着ける部屋がいいです。」
「おっけー。」
ムーンはアールドの為に、部屋を一つ作った。
壁や床を滑らかにして、入口に暖簾を掛けて完成した。
「はい!アールドの部屋できたよー。」
「ありがとうございます!」
そんな事を話している内に、夜も更けてとても眠く感じるようになった。
「じゃあ、そろそろ寝よー。」
「はい。おやすみなさい。」
「え?アールド、ここで寝るの?」
作ったばかりの部屋で寝ようとしているアールドを見て、ムーンはびっくりした。
ムーンはアールドと寝るつもりでいた。
「はい。せっかく作ってくれた部屋ですし。」
「私の隣で寝ないの?」
「はい。ご迷惑にもなると思いますし。じゃあ、おやすみなさい。」
「わかったよー…。明日は隣だからね?」
「…はい。」
二人とも眠りにつき、洞窟の中には雨の音がうるさく聞こえた。




