許さない!!
アールドが攫われたムーンは、一人を満喫していた。
昼寝をしたり、自由に散歩したり、山賊の基地に乗り込んで食べ物を奪ったりなどしていた。
――アールドの死刑を執行する!!
――チャキンッ
アールドの首に刃が落ちた。
「どわわわ!!」
「はぁ…。なんだ夢かー。アールドのやつ!夢の中でも迷惑かけやがって!」
ムーンは焦って飛び起き、アールドの文句を言い、もう一度寝転んだ。
…。
「やっぱり、探しに行こう。」
夢で見た映像が頭から離れず、アールドを探しに行くことにした。
まずは嗅覚を研ぎ澄まし、その後に自分の魔力を延ばしていき、気配を探った。
――…!!
「あ!そこか!」
臭いと気配が一致した場所を感知し、ムーンは迷うこと無くその場所に飛んで向かった。
「いた!」
「アールドー!!!」
――ドカン!!
ムーンはアールドの気配が一番濃い建物に向かい、天井から突き破って入っていった。
建物の中に入ると、アールドは上裸で鎖に繋がれていた。気を失っている様子だった。
「アールド!私が来てやったわよ!こっち見て!」
アールドはムーンに視線を向けることは無かったが、意識は戻ったようだった。
「ちょっとまっててね。こんな鉄の檻なんて、すぐ壊してあげるから。」
ふんっ!
――ドパンッ!!
「森に帰るよ!」
ムーンはアールドに繋がれていた鎖も破壊し、入ってきた所と同じ天井から出ていった。
森に帰るとアールドをふかふかの草の上に寝かせ、前世の本能で傷ができてる部分を舐めてあげた。
傷を全部舐め終わると、ムーンは立ち上がり、もう夕暮れ近い紫色の空を見上げた。
ムーンにとって、アールドは大事なオモチャであると同時に、大切な弟子だった。
ムーンは自分の中でアールドの存在が大きくなっている事に気付いた。
「…アールド。ちょっと行ってくる。ちゃんと寝ててね。」
――スパンッ!
ムーンは最高速度で空を駆け、アールドが捕まっていた建物へ向かった。
ドカドカドカッ――
「捕らえていたやつがいないぞ!」
「なんだと?どこ行きやがった!」
ムーンは情報を集めるために慎重に様子を伺っていた。建物の中は大騒ぎで、アールドを攫った犯人たちだという事が分かった。
「くそ!あいつは生かしちゃいけねぇのに!」
「あぁ…。あいつの親のせいで俺らは…。」
――ドクンッ!
ムーンの中で、今までに感じたことの無い怒りが弾けていた。とても熱く、今にも目の前の建物を消し飛ばしそうな怒りだった。
「こいつら…。」
許さない。
…親のせい? そんな理由でアールドを…。
そんな事を思っていると、一人で作業をしてる建物の中のやつらと同じ服装をしてる人がいた。
――シュパンッ
「おい。」
「あ?ここはお前みてぇなガキが来るとこじゃねぇぞ。帰れよ。」
「アールドを攫った理由はなに?」
「は?俺が知るわけ…」
――ドパンッ!
「ゴファッ…」
ムーンは相手の顔面を潰す勢いで叩いた。
そして、ムーンに怯え、震え出した相手に聞いた。
「言え。アールドを攫った理由を。」
「…ボスが…。あいつの一家は全員、殺さなきゃならねぇって。」
相手は震えた声で、そう言った。
「そのボスってのの、目的は?」
「幹部じゃねぇから…知らねぇ。」
「その幹部ってのはどこにいる?」
「この倉庫の地下だよ…。組織のアジトの隠れ蓑だよ。」
アールドが捕まっていた建物の下を指を差して言った。
「そっか。じゃ、君はもういらないね!」
――ボスンッ!
空はもうすっかり暗くなり、月も星も見えない曇りだった。
さて…
「ちゃっちゃと潰しちゃお。」




