魔法の自主練
うーん…
ムーンは空を見上げながら、考えていた。
「アールドは空飛べる?」
「いやいや!飛べないよー!」
「じゃ、私に抱きついといて。」
アールドは困惑しながら、恐る恐るムーンの体に抱きついた。
すると、ムーンは足元に魔力を込めて魔素の密度を濃くした。
「よーし!いくよ!」
――ドッパーン!!
密度が濃くなった魔素に魔力を流して、一気に爆発させて空を飛んた。
「よし。この調子なら王都から出られそうだね!」
「へぇ…。」
アールドは驚きながらも、感心していた。
スタッ
「よし、やっと森に着いたねー。これで落ち着けるよー。」
「あの、ムーンさん!僕を弟子にして下さい!」
アールドは口調を変えて申し込んできた。
「別にいいよー。」
脳天気なムーンは何も考えずに、そう答えた。そして、ムーンはいつものように片手サイズの魔力玉を作って暇を潰していた。
「…あっ!ねーアールド!」
「なんでしょう?」
「魔法の練習しよっか!」
ムーンは魔力玉で遊ぶのに飽き、アールドに声をかけた。
「いいんですか?」
「だってアールド、私の弟子になったんでしょ?」
ムーンは偉そうにそう言った。
「え!じゃあお願いします!」
「じゃあ早速始めるねー。」
ムーンは暇を潰すために、全力でアールドに魔法を教えた。
周囲の魔素を強く感じる練習…。魔力のカタチを自在に操る練習…高威力の魔力玉を作る練習…。
ムーンの基礎的な技術をアールドに全て教えた。
「どう?覚えてきた?」
「はい!魔素の感知と魔力操作は覚えました!…けど、高威力の魔力玉はムーンさんほど早くは作れないです。」
「けど、だんだんとアールドの内に秘める魔力が大きくなってるの感じるよ!」
アールドの成長の速さにはムーンも驚いていた。初めて会った時は、魔力量はあまり多くは無かった。しかし、ムーンと少しだけ練習しただけで、ムーンの四分の一くらいの魔力量になっていた。
「アールドの魔力、もう私の四分の一くらいに成長してるよ!すごいねー!」
「まだ、それくらいしか増えて無かったんですね。」
「いやいや!この短時間でこんなに増えるのは、誇るべきだよ! じゃあ、実戦形式でやってみよっか!」
「えー。手加減してくださいねー。」
「大丈夫だよー。怪我はさせないから!」
ムーンはアールドと一対一の勝負で実戦に則した練習をする事にした。
―シュパパパッ!!
ムーンは時間を掛けて魔力玉を作っているアールドに、小さな魔力玉をライフル銃のように、細かく打ち込んだ。
ムーンの小さな魔力玉は、今のアールドが作る特大魔力玉より強い威力が出る。
―パッキーンッッ!!
アールドが作っていた魔力玉が、ムーンの小さな魔力玉によって破壊され、ガラスのように散っていった。
―アースブレイクッッ!!―
アールドは練った魔力の膜を拳に纏い、それを力一杯にムーン目掛けて振り下ろした。
ドパンッ!
ムーンが避けると、アールドの拳は地面に落ちていき、纏っていた魔力は地面全体に浸透していき、大爆発した。
「おぉー。アールドすごいねー!」
「ありがとうございます!」
フラッ
「アールド、もしかして魔力切れ?」
「すみません…。」
「大丈夫だよー。休憩しよー!」
地面には無数の断層ができていた。天災級では無いものの、地面に座っていると痛くなった。
「地べたに座るのやだねー。」
「僕は全然大丈夫ですよ!」
――サササッ
「ん?」
「どうかしました?」
「木の陰に誰かいる…。」
――フサッ!!
「とりゃっ!」
――ズドーンッ!
アールドに近寄った謎の人物に咄嗟に作った特大魔力玉を放った。 しかし、魔力玉の爆発による土埃のせいでアールドは何者かに攫われた。
「アールド…。」
――久々の一人だっ!!
「のんびりするかー!とりあえず、寝よー。」
ムーンは木に登り、太い枝で寝転んだ。そして、そのまま目を瞑り、久々の一人を楽しもうとしていた。




