合格発表と買い物!
入学候補者選抜の試験が終わり、二週間が過ぎた。
試験の日、学園から帰ると二人の元に学園からの手紙が届き、そこには合格発表の日時が書かれていた。
今日がその日で、二人は学園へと来ていた。
「…アールド。なんか緊張しない?」
「ムーンちゃん。俺より緊張してるじゃん。」
「だ、だって!アールドが入学できなかったら、私、一人になっちゃうじゃん!」
ムーンはアールドよりも緊張している様子で、立っているのがやっとだった。
「うーん。俺の受験番号は…。」
合格者の番号が書かれている紙を見渡した。
「あ!あったよ!」
「ほ、ほんと!?すごいすごい!アールドやったね!」
アールドの合格を確認すると、二人はホッとした様子て喜んだ。
ムーンは「よしよしよし。」と、アールドの頭を激しく撫でた。
「よかったー。これでムーンちゃんと学園に入学できるね!」
「そうだねー。」
「じゃあ、このまま街を観光しよっか!」
「観光?」
「うん!入学に向けての買い物と、アールドの合格祝い!」
そういうと、ムーンは満面の笑みでアールドの手を引っ張って店がたくさんある方へと向かった。
「どこ行くの?」
「ピザとかグラタンとかを安く提供してる店があるから、そこに食べに行くんだよ。」
ムーンはウキウキしたような表情で、その店のことをアールドに話した。
――十数分後。
「着いたよー!ここが美味しいらしいんだよー。」
「意外と早く着きましたね。」
店の中に入ると席に案内され、すぐに水とメニューが用意された。
「この街の料理店は店員さんの動きが早いよね。」
アールドがコップの水を飲みながら、感心している様子で呟いた。
「あー。確かに注文とか早いかもねー。」
この世界では、ムーンが元いた地球とは違い、店での客に対する態度は全く違い、丁寧な接客をする店の方が珍しいという。
「アールドはどれにする?」
「んー。じゃあ、このえびグラタンにする。」
「おぉ!じゃあ、私はサラミピザ!!」
二人の食べたい料理が決まると、ムーンが店員を元気よく呼んだ。
「店員さーん!注文お願いしまーす!」
店員はすぐに二人の席へと来て、丁寧な接客態度で注文を取った。
「えーっと。サラミピザ一枚とえびグラタンを一つください!」
「かしこまりました。ドリンク飲み放題もご一緒にどうですか?」
(私の世界でいう、ドリンクバーって感じかな?)
「じゃあ、二人分お願いします!!」
それから、三十分も経たないうちに料理がテーブルに運ばれてきた。
「すごーい!見てみてアールド!チーズがめっちゃ伸びるよ!」
「ほんとだー。俺のも美味しいよー!」
二人は目の前の食事をめいっぱい楽しんだ。
「アールド、ピザ一枚いる?」
「じゃあ俺のグラタンも。」
それから、ドリンクを楽しんだり、お互いの食事を交換したりと二人は満足し、店を後にした。
「どうだったー?美味しかったでしょ?」
「うん!また来たいなー。」
「学園に入学したら入寮するし、たくさん来れるよ!」
「じゃあそろそろ、入学準備の買い物しよっか!」
二人は一ヶ月もしないうちにやってくる入学式に向けて、買い物をする事になった。
「このお店、結構いいやつ多そうだね。ここで見よっか!」
「うん。品揃えが良さそう。」
アクセサリーやカバン、服など、様々な種類のものが置かれている店を見つけ、二人はそこで買い物をする事にした。
「なんか、変わったアクセサリーだね。店員さん!これってなんですか?」
ムーンはキラキラと輝いている、紫色の宝石のようなものが付いているアクセサリーを指さして店員に聞いた。
「この商品はブレスレットとなっており、購入者が魔力を注げるだけ注ぎ、装備をすると魔力量に見合った効果が、着用している方に現れます。」
「へぇー。」
「それと、着用している人に対して加護を与えるために、着用する前に攻撃力をあげたい魔法の属性と加護の種類を決めれます。属性は火・水・土・風・光・闇の六種類。加護は、物理・精神・魔法の三種類となっています。」
店員は二人に対し、とても丁寧にブレスレットの説明をしてくれた。
「じゃあ、これ買おうかな。」
「ムーンちゃん、お金あるの?」
よく分かってないような様子で購入を決めたのと、金額を気にしてない様子からアールドは心配になり、ムーンにさりげなく所持金を聞いた。
「任せてよ!アールドと出会う前に盗賊とかを倒してお金はたくさん確保してあるから!」
ムーンがドヤ顔でそう言ってるのを見て、アールドは少し感心した。
「店員さん、これいくらですか?」
「一つ1500万ゼニとなります。」
「じゃあ、同じのを二つちょうだい!!」
「かしこまりました。二点で3000万ゼニとなります。」
「じゃあ、これで!」
ムーンはお金がいっぱいに入った袋を店員に渡して、お会計を済ませた。
そして、店員の説明をもう一度受けながら、ブレスレットにムーンの魔力をいっぱいに込め、一個は火属性と物理の加護を選んだ。もう一個には、闇属性と魔法の加護を選んだ。
「店員さん、これでいい?」
「はい。完璧ですね。」
「そういえば、これを身に着けたらどんな効果があるの?」
ムーンは今、思い出したように店員に質問した。
「例えば、火属性と物理の加護を選んだブレスレットを身に付けると、着用者が火属性の魔法を放つと攻撃力が上がり、物理の加護は物理攻撃に対して抵抗力が上がります。そして、それぞれの効率はブレスレットに込められた魔力量に左右されます。」
「へぇ。ありがとう!
じゃあ、これ!アールドにプレゼント!」
「いいの?ありがとう!」
ムーンはアールドに火属性の方のブレスレットをプレゼントした。
「ブレスレットは勢いで買ってたけど、学園生活で何が必要かな?」
アールドは肝心の学園生活で必要なものを買っていない事に気づき、ムーンに指摘した。
「まぁ、教材とかは入学後に配られるから、何もいらないんじゃない?」
「カバンとかは買わないの?」
「カバンはいらないかな。私の異空間倉庫にしまえばいいでしょ?」
「え?何それ?」
アールドは初めて聞いた異空間倉庫という単語に驚き、ムーンに聞いた。
「あぁー。私が最初から持ってた空間魔法の応用技だよー。時間による影響とか受けないから、便利なんだよー。」
「へぇ…。」
アールドは呆れつつ、ムーンの底知れない可能性に尊敬の念も抱いていた。
「じゃ、そろそろ帰ろっか!暗くなってきたし。」
「そうだね。」
二人はまだ空には明るさが残りつつも、街灯の薄明かりで夜の訪れを感じながら帰路に就いた。




