再び東の街へ!?
――カタカタカタ
ムーンとアールドはリーナの手配によって、竜車で東の街へと連れて行かれた。
しかし、今回の目的は観光ではない。
「はぁ…。こんな理由で観光地に行きたくないよー。」
「ですね…。」
「けど、アールドもいて良かったよー。」
ムーンは少しホッとした顔で背もたれに寄りかかった。
「ていうか、竜ならひとっ飛びすれば良いんじゃないの?」
すると、隣を走る竜車の窓からリーナが顔を出してムーンたちに叫ぶようにして話した。
「この竜はー!羽が退化してる種類なのよー!」
「ロマンの無くなった竜なんて竜じゃないよー!」
(全く…この人は…。)
アールドは竜のロマンを叫んでるムーンを見て、呆れながら微笑みを浮かべた。
「さぁ!二人とも!そろそろ着くわよ!」
「やっとだー!」
自分たちで東の街に行った時は、空を飛んでいったおかげであまり時間をかけずに到着したが、今回は空を飛べない羽が退化した竜だ。そのせいで、向かうだけで半日もかかった。
「私たちはどうしたらいいの?」
「私について来てちょうだい。学園の校長に会わせるわ。」
「こうちょう…?ああ!校長先生に会うの?」
「ええ。」
ムーンは前世、少し聞いた事のある言葉を記憶から引っ張り出してきた。
***
ムーンとアールドはリーナに案内され、校長室へと通された。
「君がムーンかな?」
イメージしていた校長と違い、程よく締まった体つきで茶色い髪の男性だった。
「はい。ムーンと言います。」
「そちらは?」
「あ、俺はアールドと言います。」
「私の弟子なんですよ。リーナちゃんが一緒に連れてきても良いって言ってくれたので連れてきました。」
「なるほど。まぁ、そのソファに座って。少しお話をしたいんだ。」
「はい。」
二人は校長に言われ、高そうなソファに腰をかけた。
「ムーンさん。あなたは、リーナに学園への入学を勧められたんだね。」
「あ、はい。」
「君の魔力量は既にリーナから聞いてるよ。我が学園に入学するに足る魔力量だよ。」
「ありがとうございます。」
ちゃんとに魔力量を褒められるのは初めてで、ムーンはむず痒さを感じつつも、少し会釈をした。
「それで聞きたいのは、この学園に入学する気はあるか、と言うことだけどね。そこの所はどうなのかな?」
「うーん。急な話でまだ戸惑いがあるんですけど…。」
「無理もない。だが、うちの学園に入学すれば、入寮もできるし、朝と昼の食事もある。もちろん、どちらも無料だ。」
「え!?ご飯が無料!?」
「あの…。少しいいですか?」
ムーンがご飯の事で盛り上がってるところに、アールドが校長に質問をした。
「なにかな?」
「ムーンちゃんが入学する場合、僕も入学出来るのでしょうか?」
「ああ。だが、君の実力はまだ把握できてない。だから、入学のための実技試験を受ける必要がある。」
「分かりました。」
「え!?私が入学するなら、アールドもついてきてくれるの?」
「まぁね。」
「やったー!!」
ムーンは更にはしゃぎ出し、アールドが付いてくることを喜んでいた。
「じゃあ、入学します!」
「ほう、そうか!なら、この時点で君を合格とする。一ヶ月後にちょうど入学式がある。そこに出席するように。」
「分かりましたー!」
「そして、アールドくんは来週の入学候補者選抜に参加するように。」
「はい!」
この学園の入学式は9月にあり、受験は7月から8月中旬にかけて行われる。
「では二人とも、活躍を祈っているよ。」
「ありがとうございます!失礼します!」
「失礼しました。」
二人は話が終わると、校長室を出た。
「校長先生に会うってリーナは言ってたけど、軽く面接だったね。」
「そうだね。」
「ていうか、アールド。なんか、すごく礼儀正しかったね。」
「まぁ、一応は貴族の出なので。」
「へえー!アールドって貴族だったんだー!」
ムーンは初めて知ったアールドの家について、とても興味津々だった。
「まぁとにかく、ムーンちゃんは入学式の準備。俺は来週の試験の準備をしないとね。」
「そうだねー!まぁ、アールドならサクッと合格できるよね。頭良いっぽいし。」
「どうかなー?」
***
「お疲れ様。どうだったかしら?」
校舎の外に出ると、リーナが二人を待っていた。
「うん!入学することになったよー!」
「俺は来週、試験に参加することになりました。」
「そう。良かったわね。」
リーナは自然な笑顔でそういった。
「はい。」
アールドの入学候補者選抜に来月の入学式。
これから、目まぐるしくも充実した日々が始まる。




