相棒!!
「あ!見てみて!ムーンさん!」
「…ねぇ。アールド?」
ムーンは少し考えてから、アールドに言った。
「何ですか?」
「その敬語、もうやめてもいいよー。」
「え?何でですか?」
「だって、見た目は私の方が年下っぽいし。」
「え?年下じゃないんですか?」
「違うわ!私の方がアールドより、お姉ちゃんだし!」
ムーンは少しドヤ顔でアールドの顔を見た。
しばらくして、ムーンはまた真剣な顔つきに戻った。
「じゃなくて!敬語をやめよって話!」
「でも、何でですか?」
「ドラゴンとの戦い。私がフォローをしてたとは言え、アールドは自分で魔法を考えたし…。」
ムーンはドラゴンとの戦いを振り返りながら、アールドの魔法を褒めた。
「だからさ、アールドはもう私の弟子じゃないって言うか…。相棒として!!」
「分かりましッ…。分かった!」
アールドはムーンからの急な提案に驚きながらも、敬語をやめて相棒になる事に納得した。
「じゃあ私の名前、呼んでみてよ。」
「…じゃあ。 …ムーン。」
「もっかい!恥ずかしそうにしないで!」
「ムーン!!」
ムーンの表情はパァーっと明るくなり、アールドに返事をした。
「はーい!私だよー!」
嬉しそうに右手を上げながらアールドに答えた。
「これからは、普通に話すんだよー?分かった?」
「分かった。」
少し気恥しさと戸惑いが表情に出ていたアールドを見て
「あのね、私前世は猫だったの。」
「…?」
「猫だった時は"ムーンちゃん"って呼ばれてたの。だから、敬語はあまりしっくり来なくて違和感あったの。」
「はい。」
「だから…。アールドもムーンちゃんって呼んでいいよー!」
「ええー!?」
それから、ムーンはアールドに敬語をやめさせる練習を一日中させ、ようやく普通の会話ができるようになった。
「アールドー!おやすみー。」
「おやすみ。」
アールドは横になると、練習の疲れからか寝付くまでに時間がかからなかった。
――翌朝。
「アールド、おはよー!」
「おはよう。」
すっかり敬語は無くなり、寝起きでも感情を乗せて普通に喋る事ができるようになった。
ムーンは心底嬉しかった。
「今日は何をするの?」
「今日はね。のんびりでもいいかなーって。」
ムーンはアールドの問いに、空を清々しく見上げながら答えた。
「のんびり?」
「うん!最近は探検とか観光とか忙しかったし、たまには休むのもいいかなーって思って。」
「確かに、いいかも。」
そうして、この日はのんびりと過ごす事になった。
――数十分経過。
「あー!負けたー!アールド強いー。」
「なんかコツ掴んできたぜ!」
二人はムーンの提案でチェスをしていた。
前世で、人間の次男がよくチェスをしていたのを覚えており、そこから着想を得た。
「意外と楽しいね!アールド!」
「そうだねー。けど、次もムーンちゃんには負けないぞー!」
「よし!来いー!」
昼頃まで飽きること無く、二人はチェスをし続けた。
…グルルギュル
「アールドー。お腹空いたー。」
「もうお昼だね。何か作るから待っててー。」
アールドはムーンを待たせないよう、素早く料理に取り掛かった。
「うわぁー!いい匂いー!」
そして、数十分が過ぎると料理が完成した。
「今日はムーンちゃんが考えてくれた、スパイスを使ったカレーだよー。」
「おおー!ドライカレーっぽい!」
「小麦を練って焼いたのがあるから、それに付けながら食べたら美味しいよー。」
「わかったー!いただきます!」
ムーンが前にさりげなく言っていたナンをとても上手に再現されていた。
「もう、アールドのご飯以外は美味しく食べれないわー。」
「大袈裟だよ。」
その後、ムーンはカレーを五杯おかわりし、食べ終わると昼寝をしようとした。
「食べてすぐに、横になると体に良くないんだよ?」
「はいはいー。」
ムーンは文句を言いたげな顔で起き上がった。
「敬語が無くなったのは嬉しいけど、お母さんみたいになってるよ…。」
「そう?」
ムーンは少し不満そうにアールドを見ながら、文句を垂れた。
「あー。そういえば、魔力反応が西の方でしたから、今から倒しに行ってくれる?」
「一緒じゃないの?」
「だって、もうアールド強くなってるし、一人で大丈夫でしょ。」
「いいけど、大丈夫?暇にならない?」
「こちとら、暇を潰すプロだからねー。」
(どんなプロだよ…。)
そんな事を思いながら、アールドはムーンに質問をした。
「どれくらい遠い?」
「今から出発して、アールドの移動速度だと夜着くくらいかなー。」
「結構遠いね。」
「まぁ、行ってきてよ。」
「分かった…。じゃあ、行ってくるねー。」
「いってらー!」
半ば無理やり、アールドはムーンに見送られて出発させられた。
溜め込んでた話を一気に投稿しました!次の話もお楽しみに!




