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他人ごとをぶん殴る!

 足元もふらつく、帰り道に人混みに出くわして、人の波を肩で切って歩く上背も高い人相の悪い連中が俯き前もろくに見ていないフラヴィオを”獲物”と見て、前を塞ぐ。

 それをS字を書いて空気か風のようにすり抜けられた。

 ニヤついた顔がみるみる怒りに変わる。

“何だ?あのガキ!?”

 リーダー格の男が顔を真っ赤にして、呆気にとられていた仲間を顎で指図して、フラヴィオを追う。

 それがフラヴィオの行く先が“KOBAN(コバ~ン)”ではないか?

 あの憎たらしい平たい顔の肌の黄色いキモいおっさんが衛兵の詰所を街中の要所に建てるべきだと街の顔役に打診して、本当に建てさせやがった。

 市民が駆け込む窓口にもなっちまって……、

“俺達の食い扶持がどれだけ減ったか……!”

 リーダー格のマリオーロが額に血管を浮かべて、フラヴィオへの怒りを露にする。

“ガキィ〰️ン!”

 頭に血が上り、我を忘れていたマリオーロが何かにぶつかり、尻餅をつく。

「マリオーロ、何してんだ?」

“ぼぉ~!”と鎧の(ブレスト)(プレート)にぶち当たって倒れたマリオーロへ街の悪ガキ共の兄貴分である冒険者グラウコスが手を差し伸べ起こす。

「兄貴〰️!会いたかったぜ〰️!!」

 と、マリオーロが抱きつこうとする。

“バコッ~ン!”

 その気がないグラウコスは、気色悪い弟分をぶん殴る!

 頬を殴られた痛みより……拒絶されたショックに臍を噛むマリオーロが恨めしそうにキトンの裾を噛んでいた!


 冒険者ギルド「メディオラヌム」支部、そのギル・マス専属秘書キリエの目的、

 “冒険者ギルドからの『転移者』の排除”が済み!

 全て、元・班長(グループリーダー)リカエルラの所為にして、街の人々からギルドへの反感を凌いだ。

 ご満悦でギルドマスターの執務室へノックする。

“コツコツ”

「キリエです。報告書をお持ちしました。」

 キリエが名乗り、ドアを開けようとノブに手をかけようとする。

「ちょっと、待て。」

 ギル・マスが珍しく、キリエを待たす。

「い~、だろう。入りたまえ。」

 内心、”何かあったのか?”と疑いドアノブを回して部屋に入る。

 弓上に反った脚の椅子(クリスモス)に座り、前回の騒動で眉間の皺が増えてしまったギル・マスがたまの贅沢でしか飲まない自らの焙煎で淹れたカップに注いだ珈琲をゆっくり口へ運んでいた。

 彫刻があしらわれた華美な事務机に片手をおき、ギル・マスが座る椅子の背後の書棚には飾られた幾つもの貴重な書籍や写本が並べられている。

 ギル・マスへ一礼してから机の前に立ち、コルクボードにクリップで纏めた羊皮紙(ペルガモンの紙)の書類をギル・マスへ向け、そっと置いた。

 机に置かれた書類を口に舐めた親指で一枚一枚、捲り読んでいく、ギル・マスに安堵の表情が続いていたが……最後の一枚で表情が固まる?

“ギィ〰️!グゥ!ギィ〰️!”

 動作が止まり、固まったのを異常ともとらずにパタンと執務室のドアを閉め鍵かけ、側に立ち寄るキリエがギル・マスの頭部へ手を当て、後頭部の頭髪にある接合部を剥ぎ頭皮ごとヅラしスライドさせる。

 開けられた頭部はスイス腕時計の中身のように機械技巧が大小様々な歯車を”カシャカシャ”と空回りして、魔素結晶(アルケークリスタル)が円盤状に加工・研磨され、その円盤の光彩を読み取るのも針ではなく…怪しい光を自ら放つ極小化された魔法術式が幾何学模様に刻まれた魔素結晶(アルケークリスタル)の魔導回路基盤が読み取り指令を出している。

 慣れた手付きでキリエがスポイトで瓶のオイルを掬い歯車へ挿すと歯車が回転、オルゴール(シリンダー)を稼働させ始める!

 まだ動きが緩慢なギル・マスの髪の生えた頭皮を被せ、眼球が左右にキョロキョロして焦点が合わないのに激昂して、頭部をゴツン!と叩き、やっと正常に稼働し始めた。

 今のギル・マスの正体は、今は何処ぞの森の土の下に眠る本人(オリジナル)の生皮を剥いで【自動人形(オートマータ)】に被せ、細部まで精工に似せて作られた【人形(ピグマリオン)】、本人(オリジナル)の多少の記憶と癖を複製(コピー)もされている。

 ある神が地上を完全掌握するために送り込んだ尖兵であった。

 このギル・マスの【人形(ピグマリオン)】、半機械の癖に珈琲豆の牽き方から焙煎、トリップまで口煩い!

  人間同様の味覚があるかも……不明?


 少年の容姿になってしまったフラヴィオが無一文で街をぶらつける訳もなく。

 ふらついた足取りのまま、“KOBAN(コバ~ン)”も通りすぎ。

 フラヴィオも気付かぬうちに貧民街(スラム)へその足が踏み入れていたことに周囲からの視線で気付かされた。

 まだ、日は明るいがどこか薄暗い雰囲気に包まれている。

 営業だったときも特に近寄らなかった区画である。

 怪しい目付きの連中がカモが来たと手ぐすね引いて待つ路地には行かず、真っ直ぐ来た道を戻る。

 それを塞ごうとする連中を避けて歩くうちに……もっと怪しい界隈に入ってしまった。

 それでも、怪しい目付きの所謂、”札付きの悪”っぽい奴らを巻けていた。

「止めて〰️!お兄ちゃんを……!」

“子供の……子供達の助けを呼ぶ声が聴こえる!!”

“寂しさのあまり、俺まで……新潟の田舎の油揚店主人のように幻聴が聴こえるようにまでおかしくなってしまったのか!?”

――違うって、マジマジ少女が助けを呼んでるの!?――

 また、幻聴が……と頭を振っても聴こえる声を放っておけずに声のする方へ足を進める。

 この界隈では、珍しく石造りの建物、”この中に!?”と当たりをつけて近寄り裏口から忍び込む。

 少女と少年の喘ぎ声と……、

「ほっら〰️!気持ち良いんでしょ?」

「こんなになっちゃって……ほら〰️!!」

 声がする部屋のドアをそっ〰️!と覗き見た。

  大きな寝台(ベッド)の上で精通が済んだばかりであろう少年の股間を態と手荒く扱き勃せ、声の主の少女、寝台(ベッド)に縄で縛り付けられ股間を露にされている少年の妹?の秘部へ無理矢理に挿入させようとする10代後半の中性っぽい青少年?が目に入る。

 光景を見た途端、自然に右足でドアを蹴破り、

誰が?フラヴィオ本人も驚くまま、体が仙骨を弓の玄ように伸ばし背筋を張ると引いた左拳を構え、左足で、

“ダンッ!!”

 八極拳の震脚か?と聴き紛う音で床を踏み抜き部屋中に響かせた。

 二歩目には、左ストレートを青少年?の鼻面へ拳を叩き込んでいた。

 矢の如く青少年?の鼻面を射抜く打突で壁へ吹っ飛ばしていた。

 普段、弱腰でだらしない筈のフラヴィオは、大鬼(オーガ)のニルスでも信じられない程に他人が傷付けられそうになると体を張って守ろうとする……“男のなかの男”気質である。

 それが、災いしてか?冒険者ギルドを解雇されている。


――【魔導騎士(マジカルナイト)】を倒したので、一気にレベル超え『拳闘士LV.Ⅲ』、称号『拳聖』が与えられました!――


 幻聴に襲われ……茫然自失になりそうながらもフラヴィオの怒りは収まらず、半壊した壁から崩れ落ちる青少年?の股間を、

“グワッシィ!”

 と右手で握り潰そうと鷲掴む……がTn.Tn.もお宝袋もない?

 結果として、手荒く青少年?の股間を揉みしだくフラヴィオに青少年?が、

「あっ!そ・そんなに強く……私を汚してくれるの!?」

 予想を斜め上をいく青少年?、鼻血を垂らしながら”トロ〰️ン!”とした潤んだ目で……ぞっとさせる言葉を吐かれた。

“バチィコ〰️ン!!”

 と(チン)の真下から脳天まで響かせる左アッパーを突き上げ、やっと卒倒させ黙らせられた。


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