今さら……!
その晩、身体中に骨が砕け肉が切り刻まれるような激痛が奔しり、深夜まで痛みに耐えたが意識が途切れ朝を迎える。
「フラヴィオさん、朝ですよ〰️!」
患者を起床させるため、点呼に来た看護士が寝台の掛け布にくるまったフラヴィオから布団を剥ぎ取ると……汗にまみれ腕で身体を抱き締め、虚ろな目の……少年を目にしてフラヴィオの若々しく、そそり起つ股間辺りの天幕……から視線を外し顔を見て12歳に若返ってしまった姿に腰を抜かす!?
「先生〰️!?」
フラヴィオが消え、少年が寝ていたと驚き、タッタッタッと廊下へ走り去る。
人生の経験値は、そのままに肉体は若々しいというより、まだ子供の身体に戻ってしまった。
『回復呪文』、『ポージョン』、医学的に理不尽な存在を目の当たりにしてきた外科医師ガレノス、朝から……また、理不尽な怪異と遭遇する。
「フラヴィオさんが……。」
診察室で、傍らに立つふっくらとしたベテラン看護士も慌てふためき椅子に座る自称フラヴィオと向き合い。
昨日、昼寝中に転位してから12年が経ち、『技能』の神授を受けたと聞かされ、
「その『技能』を与えた神の名は?」
と、事の原因とみられるのは、それのみと判断して神の名前を問う。
「アポローン神様です。」
フラヴィオは、正直に答えた。
なのに、医師ガレノスは、額に手を当て天を仰ぐ素振りを見せた。
「クックッ!あの神なら仕方ない!!」
今度は、俯き両手で顔を隠しながら笑いだす!
「いつも通りに12歳から有効とテキスト入力したままで技能を神授したからだろう。」
「技能の設定で君の老い、失礼!」
「君の身体に現れ始めていた老化現象を異常と技能が判断して、間違って実年齢からではなく!」
「いつも通りに12歳から有効と入力したままで技能を神授したからだろう。」
神の名を聞き、一人納得する医師ガレノスにフラヴィオも看護士も置いてけぼりを食らわされる。
医師ガレノスの見解に納得しながら、
“異常回復って、説明受けてたけど……毎晩、あんな痛みを受けなければ、いけないのか?”
不安にかられるフラヴィオを見て、
「これからの一日一日は、正常な時間経過と技能も判断するから、体を造り変えるような激痛はない!」
「大丈夫だよ!」
と肩を叩き、心配はない!と太鼓判を押す。
何故か、治療費は要らないと拒否された。
「お前は、この街の医者と患者に希望をくれたんだ!」
「金など……要・ら・ん!」
と、ベテランの看護士さんに首を絞められながらも言い切った。
病院を出た後、少しばかりだが有り金全部をベテラン看護士を病院の裏に呼び出して、
「あ・れ・はっ〰️?」
と、明後日の方を向いて言い訳したが、病院経営が……あの先生だと怪しいので、
“病院の為に受け取ってください!”
とフラヴィオが手渡すと
「病院への寄付、ありがとうございます!」
快く受け取って貰えた。
身体上は、健康そのもの安心して退院した。
まだ、日も落ちていないのに顔は影がかったように明日の見えない心の不安でフラヴィオは若返ってしまったまま、どうしたものか?
”てく!てく!”
と木賃宿へと歩いていく。
“見た目は子供、中の人は、作者の元嫁!”
みたいな不自由さを感じた。
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