大家さん
木賃宿の女?主人が……最近、前までの老夫婦に変わり遠い親戚の夫婦?が大家になったのだが……、その夫婦の奥さん?が木製扉を叩いて、
“トン!トン!”
「もう、お天道さんは、真上に昇ってるんだよ!?」
「起きなっ!良い歳した大人が恥ずかしくないんかい!?」
と、野太い声で完全に目を覚まされた。
寝台から飛び起き扉を“そっ〰️!”と静かに少しだけ開ける。
「大家さん、その〰️!俺、クビになっちゃったんだ!?」
「明日から仕事探すから、今日は、何も……したくないんです。」
頭を掻きながら、視線を外し恥ずかしながらに訳を話す。
「あっ!とうとう、やっちまったか?あのギルドも……長くないね!?」
予想していたかのように
“冒険者ギルドがやりそうなこった!”
と呆れながら、この※店子とは、付き合いは短くともフラヴィオが真面目に働いていたのを知っている大家は、影で噂されている冒険者ギルドのブラックぶりも……毎晩遅くに帰ってくるフラヴィオの階段を昇る時の足音から
“余程、搾り取られている!”
と踏んでいた。
※二丁目の店子の意味ではない!
LTBQの多分?トランスジェンダーの方と見られる女装した半獣神と牧羊神の混血の家系に生まれた”大家さん”を最初に見たときは、度肝を抜かれた。
トランスジェンダーと云うことよりも『半獣神』と『牧羊神』にも”女性”がいたと云う事実、冒険者ギルドでも教えて貰えなかった。
そうでなければ、混血種がここにいる筈がない!
「男が女装して、女房面してるのが変だってっ〰️!」
と、初対面で驚いていたのを誤解されて、掴み掛かられたが正直に
”後ろに反った螺旋の角を生やし、目の瞳孔がよっ横に細間ってる?”
“半獣神と牧羊神の混血の家系に驚いたんです!?”
と聞き、新しい大家さんも
“そこっ?”
と落ち着き払い。
「家は、半神でも変わり者扱いされてたから……兄ちゃん達、どうしてるかしら?」
と遠い目をして、数少ない家族を思い出し……心配していた。
……と、2人して街並みを眺め、互いに説明的な回想に耽っていた。
――どこ見てんの?2人とも!?――
「大家さん、俺だけでしょうか?」
「時々、理不尽なツッコミをされてる幻聴がするんです!?」
ある意味、昨日の追放より怪異な問題に身を竦めて震えだす!
“フラヴィオにも聴こえるの?”
“この転位者も……特異点なのかしら!?”
そうだとしても、
「それは……、無視して!」
「どうせ!何もしてくれない!至高存在の戯言だ・か・ら!?」
天を睨むように吐き捨てる。
嘗て、ディオニュソス教団に仕える半獣神達の一員として、働いていた時に出会った半神の原種、ある人狼と思考転写を交わすようになってから……彼?モーリス・パーンにも、時折、理不尽に世界に介在する至高存在『名もなき神々の王』の“呟き”が聴こえるようになってしまった。
「兎に角、下の食堂へ降りてらっしゃい!」
「昨日から何も食べてないんでしょ!?」
「今日は、あのギルドと縁が切れた……お祝いでタダよ!タダ!!」
“パンッ!”
大家さんに尻を叩かれ、
「ありがとうございます。着替えてから、降りていきます。」
半神だけど、優しい大家さんの言葉に勇気付けられた。
“この世界には、神々が実在する。”
“半神と云えど、神に近い存在の言葉には、勇気付けられる!”
もう、洗面器に張られたお湯も冷たくなっていたが顔と胸元や脇をタオルで拭いて、泡立てた石鹸で顔を洗い、剃刀で髭を剃ってから、階段を降りる。
一階の食堂には、ブリオッシュ、現世のフランスで云うクロワッサンだが、ここに旦那さんは、たまの贅沢にエスプレッソ(エチオピア産の珈琲豆で精製した代物)を出すが、今日は蜂蜜入りの麦茶を淹れてくれた。
テーブルの皿には、地元野菜の具材卵入りオムレツ(フリッタータ)も盛られていた。
涙ぐむフラヴィオの顔を見て、大家さんが
「まずは、腹拵えよ!」
「それで私は、……あの宿六を捕まえたの!」
声は、野太いが優しい言葉に、フラヴィオがまた泣き始める。
「頂きます!」
席に着くと木匙で口へオムレツを、ブリオッシュへ齧り付き。
”明日からは、仕事を見つけるぞ!”
と決意した。
仕事、依頼を見つけるのは、彼の得意とした営業なのだから!?
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