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当たり前の事をしただけなのに……!?

 『班長(グループリーダー)』が(フラヴィオ)へだけ、

「何年営業してるんですか?アナタならこれぐらい出来て当たり前でしょ!?」

 と、無理さえ超えた数の新規開拓をその日の内にこなしてこい!と朝から怒鳴られ外回りに出されたのに……一件も依頼の注文(クエストオーダー)を取れずに肩を落として、フラヴィオが冒険者ギルドの裏口から事務所へシクシクと戻って来た。

 長身の優男、年下の『班長(グループリーダー)』が外回りから戻って来たフラヴィオが自分の椅子に着く前に立った。

 羊皮紙(ペルガモンの紙)に今月のフラヴィオの売上を記した成績表をヒラヒラと掲げ、大きく高らかに言い放つ。

「あなたはもうオシマイなんですよ!」

「この冒険者ギルドから出て行きなさい!!」

 “言い切った!”と満足げにフラヴィオを睨み付ける。


――……あっ〰️!というか?誰だっけ!?この嫌味な奴、いずれ、ラモン団に入る屑、カエルラ・マリスだ!――


 ※詳しくは、「名もなき神々の王(仮)……」を検索してください。


 綿のシャツに赤のネクタイを絞め羊毛(ウール)地のスーツの上下を紺色に染め上げた出で立ちで真っ直ぐ背を伸ばし、高圧的に即座に“出て行け!”と入ってきたドアを指差す!


““オイ!カエルラ、段取り……ハショリ過ぎだぞ!バカっ!?””


冒険者ギルドの事務所中が逆にドン引きする。


一応は、今日1日の仕事を労い今までの業績を誉め、しかし、……ここ最近の下がりっぱなしの成績をなじり倒し、……辞職へ追い込む手順を……『班長(グループリーダー)』のカエルラがギルドマスターが最後に言う科白を勘違いしてフラヴィオへ初っぱなから怒鳴り散らし……フラヴィオが余りにも急な物言いに豆腐メンタルなのもあり。

「うっ〰!わぁー!!」

 泣きじゃくり、事務所から出て行ってしまった。

 冒険者ギルドの表のサロンまで声は、響き渡り、依頼(クエスト)を依頼しようとしていた上顧客、(シルバー)等級(クラス)以上の高位冒険者にとって、フラヴィオは、顔馴染みで街の内外の問題解決に長年、貢献してくれた冒険者ギルドの“顔”だったのに……訳も告げずに追放する?

“この冒険者ギルド……トンでもないブラックだったんだ!?”

 と上得意の顧客と高位(ハイクラス)冒険者達に直ぐに理解され知れ渡った。

 カエルラは、自分の上得意先が元はフラヴィオが開拓した顧客だったので営業に伺う度に、

(フラヴィオ)は、元気にしてるかね?」

 と顧客に尋ねられるのが気に食わず……流行りの“追放”をやってみたくて仕方がなかった。

“今日こそ、【来訪者(ヴィジタトーレス)】の癖に生意気だ!”

 と下に見ていたフラヴィオへ言ってやろうと上役の了解を得たが……、

「ギルドマスターがお呼びですよ!」

 と肩を叩く端役(モブ)なのに……でしゃばり!

「カエルラ『班長(グループリーダー)』、あ・な・た、何!?権利もないことを先走って……!」

「あ・な・たをギル・マスが呼んでますよ!って、(フラヴィオ)の肩を叩くだけだったでしょ〰️!?」

 影で台本(シナリオ)を仕組んでいた白のブラウスに黒のスーツにタイトスカートの上下、ギルドマスター秘書、オカッパ頭のキリエがワナワナと怒りに手を震わせ、カエルラを睨み付ける。

 不景気で仕事を取れずに肩を落として事務所に戻って来たフラヴィオを嘲り、……つい言っちまった!?

 カエルラは、この後、

“冒険者ギルドの評判を著しく汚した!”

 と、……逆に、

「ギルドマスターがお呼びです。」

 と冷たく、キリエにギルドマスターの執務室へ呼び出され、禿げた頭と境が分からぬ額に血管を浮き上がらせた壮年のギルドマスターから、

「君のスタンドプレーで冒険者ギルドの信用が……内外で駄々下がりだよ!?」

 激しく叱責された。

 それも、明白、受付を介して、態々、フラヴィオを名指しして冒険者ギルドへ依頼(クエスト)を出しに来た貴族や商人の御使いから……あの騒ぎに対する苦情(クレーム)が殺到!

 その日の内にカエルラは、結婚して街の郊外に新居を建て、3人目の子供も生まれる前なのに冒険者ギルド営業職、『班長(グループリーダー)』を降格どころでは、ギルドマスターも上得意の顧客達へ示しがつかず、まさかの厳重解雇された。


 これから後、カエルラは街に訪れた※愚連隊ラモン団の中に旧知の仲だった糞バエのユージーと再会して即入団、モヒカン刈りになり、妻と子供を捨て……痴情の縺れからディロス島の岬から投身自殺する。

 ※詳しくは「名もなき神々の王(仮)……」を検索してください。

 そんな屑は、どうでも良いが、もう40代になろうとする者(この世界では、オッサン扱い)が泣きじゃくりながら、走っていく光景は、道行く人々の感心を引き、余計に冒険者ギルドの評判を落とす材料となっていく。


 木賃宿の狭い個室に引き籠り、寝台(ベッド)の中で泣き続けた。


 それもそうである。


 誰か好き好んでテンプレの女神からの【賜物(ギフト)】もなしに、好んで異世界転移した訳でもないのに……。


 一晩中、この11年間、どれだけ苦労しても泣かなった男が泣き崩し……寝入ってしまい。


 起きたのは、昼過ぎだった。


“寝過ごして、しまった!”


“あっ?俺もうクビにされたんだから……遅刻にならん!?”


 寝台(ベッド)から天井を見つめ当たり前の事に気付いた。


 フラヴィオの当たり前は、この街へ(フラヴィオ)が無自覚に冒険者ギルドの職員への退職金制度、受付、事務職への労働環境の改善を求めたり、労働者側の対抗手段としてのストライキ!労働組合の組織作り、労働者の互助会、その提言など……etc.この世界でも稀な職場改革へ寄与していた。


 だからこそ、この街の特権階級、雇用主達の資本家階級(ブルジョワジー)層からは、目をつけられ……冷遇されていた。

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