第1話 親父からの贈り物
お、読んでくれるんですね!
俺は高校2年生に上がったと同時に、祖父母から親父が死んだことを伝えられた。でも悲しくはない。むしろ清々したといっていいだろう。
なぜなら親父はロボットの研究にのめり込むあまり、まだ小学生の俺とお袋を残して蒸発してしまったからだ。それから中学に上がると同時に、女手一つで俺を育ててくれたお袋は病気で死んしまい、俺は苦しい生活を余儀なくされたのだ。
そんなある日、俺の家に大きなダンボールが届いた。差出人は親父で多分死ぬ前に俺に届けてくれたのだろう。
「今更俺に何を送ってきたんだ?」
俺はそう呟きながらも、ダンボール箱を空ける。するとそこには一人の美少女が眠っていた。
「あのクズ親父、とうとう殺人まで犯してたのか!」
俺は驚いて後退りをする。しかしよく見ると、その美少女のお腹の上には「アンドロイドです」と書かれた小さな紙切れが置いてあった。
「アンドロイド?本物なのか?」
見た目はほとんど人間で、触った肌の感触も人間だ。
「まあロボットなら詳しい説明書があるはずだ。」
そう言いながら俺はさっきの小さな紙切れを手に取り裏返す。するとそこにはたった一言だけ、衝撃的な文章が書かれていた。「優しくキスをしてください」と。
「バカバカしい。」
俺は紙を床に叩きつけながらそう叫んだ。親父にバカにされた気分で腹が立ったのだ。
「だいたい親父の贈り物なんて早く捨てとけばよかった。」
俺は箱を閉めようとしながらもう一度アンドロイドの顔を見る。
「……でも、本当に可愛いな。」
もしキスをしたら何が起こるのだろうというよりも俺は、ただ単にこの美少女にキスをしてみたいという衝動にかられる。
「……試すだけ、試すだけだ。」
俺はそう唱えながら、優しく自分の唇を美少女の唇に近づける。
「……!」
美少女の唇はとても柔らかかった。キスを終えた俺は少し頬を染めながら顔を離す。
「アンドロイドに何やってんだ俺は!」
自分の行為を恥ずかしいと感じた俺は床をゴロゴロと転がり回る。
「ごほんっ!……やっぱり何も起こらないじゃないか。」
少し待っても何も変化が起きなかったため、もう一度箱を閉めようとしたときだった。ゆっくりと美少女の目が開いたのだ!
驚きもするが可愛いという気持ちが勝って目が離せない。それから美少女はゆっくりと体を起こし、俺の顔を見ながら微笑んだ。
「私の名前は橘笑美。今日からあんたの彼女になるのよ。」
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