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剣聖、天使な娘を拾う  作者: ミューズ
18/18

18 ヤマアラシ掃討 後編

ヤマアラシの第二のアジトと思われる洞窟内。

ディアルたち第一小隊は女の操っているゴーレム三十体と交戦していた。

ゴーレム三十体と言っても多少は強度が強化されていたものの、それは何処にでもいる普通のロックゴーレムだったので、王宮騎士たちで構成されている第一小隊が後れを取ることはなく、順調に半数以下まで倒せていた。

ディアルは剣聖の名を恣にするセークリッジ剣王国最強の剣士だ。

大分余裕があったので、固まっていたロックゴーレムの群れの中に飛び込んで一体一体屠っていたその時、戦況に変化が起こった。

ロックゴーレムたちの奥に一人静かに佇んでいた女、ノーアが突然何か叫んだのだ。

それをディアルは聞き取っていた。

ディアルは聴覚強化の魔道具を装備していたので聞き取ることが出来たのだ。

聞き取った内容に、ディアルは驚愕した。

彼女の口から「コアバースト」と聞こえた。

コアバーストは、マグマゴーレムというゴーレムのみが有している固有のスキルである。

ゴーレムの心臓であるコアを爆発させるという単なる自爆スキルなのだが、範囲が中々に広い上、威力がかなり高い恐るべきスキルなのだ。

そんなスキルの名前を聞いたディアルは驚愕に目を剥いたが、同時に疑問が浮かんだ。

コアバーストはマグマゴーレムの固有スキル。

眼前に蠢くのはロックゴーレム。

これではコアバーストなど発動しないではないか。

一体どういうことか?

そう考えていると、ロックゴーレムが一体ディアルに向かって拳を振り上げて来た。

距離はかなり近い。

考えるのに没頭していてここまで接近を許してしまった。

不覚である。が、特に問題はない。

そしてその不覚が幸と働いた。

ロックゴーレムが懐近くまで迫って来たことで、感じ取ることが出来た。

ロックゴーレムが持つ魔力を。

「ん?この魔力は・・・っ!まさか!」

マグマゴーレムのコアの魔力。

ディアルが感じ取った魔力は、マグマゴーレムのコアの魔力にそっくりな、いや、それその物だった。

では一体何故ロックゴーレムのコアがマグマゴーレムのコアに替えられているのか?

しかしディアルはそれには疑問は持たなかった。

その代わりに心の底から驚嘆していた。

ゴーレムのコアを別のゴーレムのコアと入れ替えることが出来るのは知っていた。

しかしそれは超高難度の技術なのだ。

成功した者は過去に唯一人だけ。

他の者がやっても上手く馴染まず、皆失敗に終わって来たのだ。

そのためもうここ十数年試す者さえいなかったのだ。

しかし交戦しているロックゴーレムたちは恐らく全てマグマゴーレムのコアを持っている。

これは奥に佇む彼女が施したのだろう。

こんなに沢山のゴーレムにコアの置換を成功させた彼女の技量に、ディアルは戦慄した。

ディアルは拳を振り上げたゴーレムを斬り倒すと、未だ交戦している第一小隊の皆に腹の底から出した大声で叫んだ。

「全員今直ぐ退れーーっ!!!逃げろーーっ!!!」

ディアルの鬼気迫る表情での全力の叫び声に啻ならぬ何かを感じ取った彼らは、戦闘を放棄し戦線を離脱していった。

中にはディアルを心配してこの場に留まろうとした騎士も何人かいたが、ディアルの鬼の形相に気圧されて結局逃げていった。

「良し。皆逃げたな」

ディアルは手に執った剣を鞘に収め、もう一つの剣、海嘯魔剣ジュドラメアを抜いた。

「いよいよこれを使う時が来たな」

そう感慨深げに漏らすと同時に、ディアルはマルクス中将へ連絡を入れた。

ヤマアラシを追って東へ向かってくれ、と。

ディアルは女が、「今だ。東へ逃げろ」と言ったのも聞き取っていたのだ。

逃がす訳には行かない。

直ぐに追うようしっかり伝えた。

そしてもう一言。

死ぬかもしれない。

そう中将に伝えたのは、この場を凌ぐ自信がないからという訳ではない。

とても危険だと言外に伝えたのだ。

中将なら大丈夫だろうと思うが、数名なら応援に回せるだけ人数に余裕がある。

それで応援を寄越されても却って怪我人を出すだけなので、自分のことは構わず全員を追跡に割り当ててくれということを暗に言ったのだ。

中将はそれを理解したようで、ディアルを心配していることが解る声音での了解を得て、通信を切った。

通信が終わったと同時に、十二体のロックゴーレムたちが一斉に動きを止めた。

そして身体から膨大な炎の魔力が一点に集束していく。

それをディアルは肌で感じ、玉の冷や汗を額から流した。

「くっそやべぇな。集中集中」

あれだけの莫大な魔力が爆発を起こしたら、洞窟ごと吹き飛んでしまう。

逃げ出す時間はない。

選択肢はここで止めるか死ぬかの二択。

それなら当然止める方を選ぶ。

ディアルは魔剣、海嘯魔剣ジュドラメア内のありったけの魔力を一点に収斂する。

ディアルは生まれながらにして魔力を持たない魔力無し。

これまで身体で魔力の流れを感じたことのないディアルにとって、これが初めての魔力の奔流。

魔力量は莫大。舞台は土壇場。

そしてチャンスは一度切り。決めなければ死ぬ。

そんな場面は今まで何度もあったが、魔力絡みは初めてだ。

出来るのか?

膨大な水の魔力を操るのに常に集中しなければならない。

慣れない感覚に頭が痛くなって来る。

しかし集中を切らしたらもう間に合わない。

死んでしまったらミーナを悲しませてしまう。

それは嫌だ。

ディアルは気合を入れると、全神経を集中させ魔力を練り合わせる。

壁を作るのだ。爆発を止めてなおかつそれを押し返す壁を。

頭にはイメージが浮かんでいる。

後はそれを形にするだけ。

とにかく分厚い壁を。とにかく強固な壁を。

そしてそれを押し拡げて爆発を返す。

するとここで、ロックゴーレムたちから物凄い熱が発せられた。

そして炎の魔力で全身が赤々と光った。

まずい!来る!

「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

ロックゴーレムたちが一斉に爆発した。

その瞬間、ディアルは全身全霊を懸けて雄叫びを上げた。

するとディアルに変化が起こった。

心臓が熱くなったのをディアルは感じた。

そして更にその奥。魂から力が湧き出て来た。

その力を感じ取った瞬間、海嘯魔剣ジュドラメアの魔力とディアルの身体が繋がり、全身に魔力の流れを直に感じられた。

そして魔力をいとも容易く自在に操れるようになった。

これが聖魂の力なのだろうか?

そんなことを考えた束の間の後、ふと顔を上げ前を見ると、ロックゴーレム十二体分の超高威力の爆炎と爆風が、ディアルに向かって真っ直ぐ迫って来ていた。

まずい!早く魔力の障壁を形成しないと!

そう思ったディアルだったが、気付けばもう既に眼前いっぱいに蒼い魔力障壁が張られていた。

それはディアルが完成させようと努力していた、分厚くて強固な濃密な水の魔力障壁だった。

焦ってイメージしただけで完成してしまった。

明確に脳内で像を思い描いた訳ではないので、しっかりと張れているのだろうか?

強度が不安になったディアルだったが、心配は要らなかった。

襲来した業炎と灼熱の風が津波のように魔力障壁を押して来るが、力はこれでも拮抗しているようで、押されることはない。

ディアルは心底ほっと安堵した。

そして直ぐ様気持ちを切り替え、集中し魔力に触れた。

爆炎と爆風を受け止められたのなら、後はこれを向こうへ押し返すだけだ。

海嘯魔剣ジュドラメアの蒼く輝く巨大な水の魔力障壁の魔力に触れたディアルは、壁を押し拡げるように力を込めて障壁を思いっ切り押した。

すると僅かの拮抗の後、徐々に魔力障壁が強く叩き付ける爆炎と爆風を押し返して行った。

崩れ落ちる洞窟の天井の岩石や土砂をも炎と一緒に押し返し、女の方へ追いやった。

そして押し返された業炎と灼熱の風が、茫然と立ち尽くす女を呑み込み奥深くまで続く洞窟を一気に吹き飛ばした。

ディアルの眼前には、洞窟の先の暗闇ではなく、森の緑に映えた青く澄み渡る空が広がっていた。


ゴーレムの奥で静かに佇む女、ノーアは安堵感を覚えていた。

「あぁ・・・やっと終わるんだな・・・」

そう呟くと、自然と顔が綻んだ。

それは長いやっと苦しみから解放されたような柔らかい笑顔だった。


巨大な蒼い壁がこちらに向かって来る。

途轍もなく膨大な水の魔力の大波が迫っているのだ。

それは十二体のロックゴーレムの爆発を物ともせず押し潰し、尚も威力を減衰させず肉薄する。

あんなものとても防ぎ切れない。

かと言って何処かへ避難するのも間に合わない。

完全に詰みだ。死んだ。

避けられない死がノーアの脳内を満たす。

しかし恐怖や後悔などは不思議と無い。

あるのは安堵感と開放感。それが今のノーアの心にある感情だ。

やっと終わる。こんな醜くて惨めな人生が。


ノーアは名も無い小さな山村に生まれた。のだそうだ。

何故のだそうだ、などという不確かな物言いなのかと言うと、単純に記憶が無いからだ。

ノーアは赤ん坊の時孤児院に拾われて、そこで育ったのだ。

何でもその村が巨大な魔物の襲撃に遭い、討伐隊が村へ到着した時には既にそこは壊滅状態だった。

その巨大な魔物は小一時間程で討伐された。

その後に討伐隊が生存者はいないかと捜索したところ、弱っていた赤ん坊が発見されたという。

それがノーアだ。

ノーアは教会が運営する孤児院で何不自由無く楽しく過ごしていた。

近くの街でお手伝いをしたり、孤児院の畑で作物を育てたりと、孤児院の子供たちと仲良く元気に生きて来た。

あの頃までは本当に楽しい人生だった。あの頃までは。

ノーアが十歳になった頃、孤児院の子供たちが徐々に減り出した。

あの時のノーアは拾い手が現れたのだろうと楽観的に思っていた。

しかし一ヶ月が経過し、十五人いた子供たちが八人になった時、流石におかしいと思い始めた。

こんな短期間に七人も拾い手がつくものなのだろうか?

普通そんなことは有り得ない。

孤児院の子供たちは、成人である十五歳になって孤児院から巣立つのがほとんどで、何処かのお家に引き取って貰える子なんてそうそういない。

ノーアは怪しく思ってその日から警戒しながら生活するようになった。

それから三日後、子供たちはまた三人数を減らした。

それでノーアは確信した。

この孤児院には何か危険なものがあると。

しかし特にこれといって怪しい人物は見受けられない。

ノーアはその日の夜、孤児院を切り盛りしている神父さんに何があったのか訊いてみることにした。

皆が寝静まった消灯後、ノーアはこっそり起き出して神父さんがいるであろう部屋へ向かった。

しかしそこには誰もいなかった。

まだこの時間なら起きていそうなものだが。

そう思って部屋を後にしようとしたその時だった。

床下から吐き気を催す程の途轍もなく悍ましい気配を感じた。

そしてその直後、ぎゃああぁぁぁぁぁという神父さんの叫び声が聞こえた。

ノーアは驚いた。心臓が飛び出すくらいに驚いた。

怖いと思った。足が震えた。

しかし蛮勇なのか好奇心なのか、ノーアは見つけた地下へ延びる階段を下り叫び声がした所へ行くと

「・・・っ!!!!!・・・うっ・・・・ぁぁ・・・・」

ノーアの目に映った光景は、肉塊と化した神父さんの亡骸と、突然いなくなった子供たちの息絶えた無残な姿だった。

壁に飛び散った真っ赤な血。床に広がる真っ赤な血の海。

鼻を突く噎せ返る血臭。

そして口からボタボタと血を垂らす異形。

十歳の少女の精神を崩壊させるには十分過ぎる衝撃的な光景だった。

「・・・・・あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ノーアはその場から逃げ出した。全速力で逃げ出した。

孤児院で寝ている子供たちなど考える余裕もなく、一人孤児院から逃げ去った。

後ろを振り返らずただただ逃げに逃げ、気付いた時は何処かも分からぬ夜の街道に出ていた。

ノーアは異形が追って来ていないことに安心すると、力尽きてそのまま寝倒れた。

それから目を覚ますと鉱山前にいて、周りは怪しい男たちと土で汚れた子供たちで溢れていた。

それから訳も分からず重労働を強いられ、罵詈雑言を吐かれたり暴力を振るわれたりしながら働き続けた。

ノーアの心は死んだ。

何年働き続けただろうか。ノーアはすっかり成人していた。

そしてそれから直ぐにそこは違法奴隷労働として摘発され、街に送還された。

その後ノーアは街の飲み屋で働いていたが、元奴隷だったことで世間の目は冷たいものだった。

店を訪れた客からは心無いことを言われたり、接待を嫌がられたり、いちゃもんをつけられたりなど、酷く当たられた。

そんな中、

「ノーア、お前は今日付けでクビだ」

突然そう言われた。

「・・・・・えっと、何でですか?私ちゃんと言われた通りに働きました!ミスもしなくなりました!何で急にクビになるんですか!?」

ノーアはとにかく生活するためのお金が必要だった。

奴隷解放された時、素性が明らかな者には国から手当が出たが、ノーアは家も家族も無かったため、手当が出なかったのだ。

なので今仕事を失うわけにはいかないのだ。

突然突き付けられた理不尽な解雇に、ノーアは捲し立てるように理由を尋ねた。

しかしその答えはノーアの心を傷付けるものだった。

「何故だと?そんなもの、お前が労働奴隷だったからに決まっているだろうが!」

店長はノーアにそう吐き捨てるように言って、ノーアを突き飛ばした。

いきなり押し倒されて茫然自失するノーア。

それを汚い物を見るような眼で見下ろす店長。

「・・・・・」

ノーアは今の状況が理解出来なかった。いや、理解したくなかった。

次に店長がなにを言うか何となく予想がつく。

それはノーアが一番聞きたくない言葉だ。

「お前のせいで店の評判が駄々下がりだ!客足が減って儲けが出ねぇ。お前がいると潰れちまうんだよ。この疫病神が!出てけ!」

案の定言われた。精神が抉られる言葉のオンパレード。

その日店を追い出されてから後の記憶は無かった。

ノーアはその後は別の店で働いたが、同じ理由でクビになり、その後もまた同じく。

働き先で元労働奴隷のことが指摘され、客からは嫌われ店を追い出される。

その繰り返しで、ノーアはこの街が、国が嫌いになった。憎悪を抱いた。

元奴隷だからという理由で嫌悪し、救いの手を差し伸べないこんな国、消えて失くなればいい。

そう思い数年間冒険者として実力をつけた。

三年かけてAランクにまで上り詰めたのだ。

たった三年でAランクになれたのだから、ノーアは魔法や戦闘に才能があったのだろう。

もしかしたら国への憎悪も手伝ったかもしれない。

だが実際、ノーアにはとんでもない魔法の才能があった。

それは魔力の収斂と魔力の付与。そして何より魔力の同化。

その才能をノーアは遺憾無く発揮し、ロックゴーレムのコアをマグマゴーレムのコアに替えたのだ。

時間はかかった。二年。

しかし完成した時、達成感は感じられなかった。

代わりに感じたのは虚しさだった。

ゴーレムを王都に放ったところで精々街の一画が壊れるだけ。

直ぐに王宮騎士団やらが駆け付けて鎮圧されるだけだ。

少し考えれば誰でも分かったことだ。

馬鹿か、私は。今まで何をやっていたんだ。

そう自問しても過ぎた時間は戻らない。

一気に虚無感がノーアの心を支配し、全てがどうでもよくなった。

所詮私は労働奴隷。家も家族も無い天涯孤独の身。誰の役にも立たない価値の無い人間。

そう思った。そしてノーアは死のうとした。

だが只で死んではやらない。せめて何かこの国に遺したい。

そんな時にノーアに手を差し伸べた者がいた。

それがヤマアラシだった。

別に嬉しくは無いが、これなら何かやれるのではないか?

何か大きな事件を起こして、国を騒がせて爪痕を遺せるのではないか?

この時のノーアにはもうそんな考えしか浮かばなくなっていた。

そしてノーアはその手を取り、盗賊に身を窶した。

それからノーアは積極的に盗賊家業を働いた。

行商の荷馬車を襲うのだ。但し特定の範疇のだけを。

奴隷などの賤民を嫌う店に卸す商品を積んだ馬車。

平民を見下し侮蔑し、そのくせ平民から搾取を重ね私腹を肥やす、貴族たちが手にするような高価な商品を積んだ馬車。

それらのみに焦点を当てて強奪を重ねた。

そうやって結果を残し、ノーアは見事ヤマアラシの幹部の座に就いたのだった。

だがやはり達成感や高揚感は無く、只虚しいだけだった。

そんな時にノーアは剣聖の存在を耳にした。

それはそれはさぞかし魔法の才に恵まれ、武術の腕にも秀でて、尚且つ頭も良くて、そんな人間なんだろうと心の片隅で嫉妬を覚えていた。

だが聞けば、魔力を持っていないため魔法は一切使えず、学もない寒村生まれのド平民。あまつさえ家族は故郷ごと失ったという。

信じられなかった。




















































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