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4.委員長と江の島に来たんだけど

 土曜日ということもあってか、人がそこそこいるため

座ることはできなかったので窓をみて立ちながら江の島行きの電車に乗っていた。

 『どういうことですか?』『なんで帰ってこないんですか?』と大量の通知共に、何度も通話が桔梗から来ていたが、俺はとることができなかった。だって電車だしね。マナーってあるよね。あ……やっべえ、携帯の電池切れた。今日半日だからモバイルバッテリー持ってこなかったんだよね。桔梗心配しちゃうかなぁ。



「ねえ、一条君。私とさっきの人の関係を聞かないの?」

「うん、今は聞かないよ、よくわからないけど誘ってくれたってことは、いつか話してくれるってことでしょ」

「ありがと……一条君はまた少し変わったわね」

「常に進化する男だからね、俺は。ついてこれるかな?」

「進化に失敗して絶滅した動物もいるから気を付けてね。あなたの場合進化というよりも突然変異じゃないかしら?」

「突然変異ってかっこいいよね、オンリーワンって感じでさ」

「そうね……あなたの場合はロンリーワンにならないといいけれど……」



 俺の言葉に委員長は「フフ」っと意地の悪い笑みを浮かべた。そして小声でなにかをつぶやいた。



「ありがとう、刹那」

「え、なんだって?」

「何でもないわ、行きましょう」



 委員長の言葉はかなり小さく聞こえにくかったけど、俺の耳にはしっかり聞こえてたんだ。よかった迷惑じゃなかったみたいだね。え、何で聞こえないフリしたかのかって? 以前委員長に借りたラノベにこういう時は聞こえないフリをしろって書いてあったんだよね。俺は常に成長する男一条刹那だからね。ラノベ主人公と同じミスはしないよ。







「海だー!! 泳ごうよ、委員長!!」

「あの、騒がないで……一緒にいると恥ずかしいからあんまり近くにいないでくれるかしら、具体的には半径1KM以内にはいないでね。あと今は季節的に入れないわよ」



 久々の海でテンションが上がって上半身裸になったけど、海風に吹かれて正気に戻った。本当だよ、無茶苦茶寒い。てか風邪ひいちゃう。でも桔梗や委員長と海とかプール行けたらすっごい楽しそうだよね。今度誘ってみようかな。



「直径じゃなくて、半径かぁ。ちょっと会話するの大変そうじゃない? モールス信号でやり取りする? これなら戦争になっても連絡できるよ、ちょっと勉強したんだ」

「今朝の会話の伏線を回収するとは……悔しいけどあなたの勝ちね……」



 そして俺がモールス信号で「すごいでしょ」と地面を足で踏んで打つと、彼女はあきれたようにため息をつきながら俺と同様に地面に足で「ばかね」と返してくれた。そして離れ島に山を指さしてまた憂いに満ちた顔で言った。



「あそこで夕焼けを見たいの付き合ってくれるかしら」

「いいよー、でも夕焼けまで時間があるよね、せっかく来たし観光しない?」

「いいわよ、そうね……じゃあ、水族館でも行きましょうか? 結構大きいのよ、あそこ」

「へー、いいね、委員長は行ったことあるの?」

「ええ、小学校の時にお父さんたちと……」



 そう言って委員長は少しほほ笑んだ。それは、まるで何か大切な思い出を噛み締めているようで、でも少し悲しそうな顔をしていたのが印象的だった。



「じゃあ、俺は泳いでくるからどっちが早いか勝負ね」

「やめなさい、風邪ひくし、クラゲもいるわよ。それに水にずぶぬれにのあなたと一緒に歩きたくないわ」

「水もしたたるいい男っていうじゃん、大丈夫だよ」

「大丈夫なのはあなたの脳内の話だけよ……キャッ」



 俺がおどけて海の方へと歩き出すとそれを止めようとした委員長が腕を引っ張るが、タイミングが悪かったのか、バランスを崩して俺の胸へとつっこみ委員長が俺に抱き着くような形になってしまった。もちろん俺はしっかり受け止めたんでけど……桔梗とは種類の違う甘い匂いや、意外と可愛らしい叫び声に一瞬キュンとしてしまった。俺達はそのまま目が合うがが一瞬でそらされた。悲しいね。



「いちゃついている……いいなぁ、俺にも抱き着いていいんだよ、飛鳥様」

「こんな公共の場で抱き着けるわけないでしょ、あんた馬鹿じゃないの……誰もいないところならまあ……」

「え、なんだって?」

「あんた実は聞こえていることくらいわかってるんだからね、いい加減にしなさいよ馬鹿!!」」

「ごはぁ!!」



 目の前を通るカップルの声に委員長はあわてて体を離した。俺達はたから見たら抱きあっているようにみえたのか、委員長怒ってないかな? しかし、カップルの男の方殴られて嬉しそうな顔していたけどいろんな愛の形があるんだなぁと思う。



「もしもし、警察ですか、はい江の島で不審者が……いきなり抱き着かれたんです。相手は170センチくらいの身長で、高校二年生で、カフェでバイトをしてます。名前は一条刹那と言います……」



 まずい、委員長が国家の力を借りようとしているよ!! 前科ついちゃう、止めないと!!



「ちょっと待って、どこに電話してるの? てか犯人像が具体的すぎて身内の犯行だと思われるよ。しかも今のは委員長の方から倒れこんできたよね、どちらかというとラッキースケベ的なやつじゃん」

「確かに漫画のようにラッキースケベもあるかもしれないわ。でもね、刹那、現実ではラッキースケベだろうがなんだろうがスケベはスケベだから通報されたら捕まるのよ」

「理不尽だぁ……でもまだ未成年だから実名ばれないよね、よかったー」

「全然よくないでしょう……」

「どうしたら許してくれる?」



 俺の言葉に委員長は呆れながら答える。スマホからすぐ口を離したし、本当に警察に電話したわけではないのだろう……ないよね? まあ、捕まっても未成年だから実名はばれないし、それで委員長が少しでも元気になるならいっかー。

 委員長は微笑んで俺に向かってこう言った。



「じゃあ、慰謝料として私を水族館までエスコートしなさい」

「もちろん喜んで」



 委員長の言葉に俺は大げさにお辞儀をして答える。そして二人で水族館に向かうのであった。

デート編開始です。この前俺も江の島行ってきたんですが良いところでしたね。しかし生シラスが禁漁中で食べれなかった。


途中で会ったカップルは別作品の「ドMな俺が推している美人で暴力系ツンデレヒロインな立花飛鳥を負けヒロインにはさせはしない」のキャラです。なんとなく出したかっただけです(笑



面白いな、続きが気になるなって思ったらブクマや評価、感想いただけると嬉しいです。

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