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時渡りのかえか  作者: 塩引鮭
現代編
18/65

18、話し合いたい者達

現代編その15


〜話し合いたい者達〜


ど、どれだけ食いやがる!


笑顔を保とうとするのだが赤星の顔は、ますます引きつる。

佐々木と村瀬も笑顔ではいたが、先程から不思議に思っている事がある。


この少女達の目の前にはデザートを平らげたお皿や器が、かなりの量、積まれているのだが、決して食べるスピードは早くはない。


満面の幸せそうな笑顔で2人とも、ゆっくりと味わってるのだが、それに反して、クレープ、プリン、パンケーキ、パフェ、無くなっていくのが明らかに早い。


そう!よく観察していればすぐに気づく事だった。


ようやく何か、おかしいことに気づいた赤星が、両隣の佐々木と村瀬の方を見つめてから改めて正面の2人を、、、


ではなく胸元付近のデザートの皿を凝視する。


そこには何皿目かで置かれていたパンケーキがあったが、ナイフやフォークが使われていないのに色んな方向から少しずつ、虫喰い状にかけていく様子があった。


「な、なあ、嬢ちゃん達!それって」

赤星はパンケーキのある皿に指を指して尋ねる。


フィーレラナは、かえかと顔を見合わせ「ああ、これ?」っと、右手で指を、パチン!と鳴らす。


かえかも右手を縦に握りこぶしの形にして、親指と人差し指の上辺りに、ふっ、と息を吹きかける。


するとパンケーキの皿の周りを取り囲むかのように、5つの小人のような人影が浮かび上がり、ハッキリとそれは人の、、、いや、子供のような姿を現した。


「いっぱい食べさせてくれたから、お礼に今だけ、見えるようにしてあげる!」

ウィンクしながら笑顔で語るフィーレラナに、しばらくの間があった後。


「2人前かと思ったら7人前かよ!!!財布がもたねーわ!!!」

思わず中腰で赤星は叫んでいた。


妖精たちを見て、赤星を見て、もう一度妖精を見て、思いっきりのけぞる村瀬。

姿勢は崩さないまま驚いたものの、少し頬を染めて見つめ続ける佐々木。

トゥキュン!

特に、かえかの使い魔の方にだろうか。

佐々木はハートを撃ち抜かれていた。


いきなり姿を晒されて、へっ?と固まっていたが、口についたクリームを拭おうともせず、それぞれ、かえかとフィーレラナの背中へと慌てて隠れ、肩口から目だけを覗かせて、妖精たちは赤星を恐る恐る見ている。


「先輩!ツッコミそこですか?」

もう今更、何を見ても驚かない事にしようと、村瀬は赤星の肩を抑えて、座ってくださいと促す。


「初めまして!!あなたたち、とても可愛いのね!みんな、お名前はあるのかしら?」


胸の前で両手を握り合いながら身を乗り出し気味で、佐々木は尋ねていた。

デレデレした姿は乙女そのものである。


こんな顔もできんのかよ!と、赤星達は少し引き気味だったが


「大声出して済まない。俺達は君らが、この日本、、いや、この世界に来た理由や君達の正体が知りたい!その上で、この国と仲良くしてもらえるのなら協力をお願いしたい」


見た目は人間そのもの、いや、人間なのだろう。

だが、彼女達が行った不思議な事は、少なからず、これからの人類の発展への鍵になるかもしれない。

その先駆けを他の国に知られる前にというのは、例え他の国であったとしても考えるであろう、至極当たり前の政治的判断である。


正直、得体は知れないのだが、やはり見た目は普通の少女だ。


ただ、美しすぎるのだが。


それでも赤星や佐々木が思うのである。

彼女達にとっても、それがこの日本で良かったのだという事を。


他の一部の国なら、有無を言わさず人体実験とまではいかなくても、それに近い酷い行いと軟禁状態にはされるかもしれないだろう。


いや、上も一枚岩では無い。

利益のみを優先させるべきだという声も出てくるかもしれない。


政府から押し付けられた仕事とはいえ、早めに手を打てば、この少女達を守れるかもしれないし、力になれることもあるかもしれない。


そう!立場は違うが、基本的に人を守るという職業に就いた、この3人は優しいのだ。

こうして集まったのは偶然なのだが。


いや、偶然なのだろうか?



おかしかった雰囲気は、和みつつ、当初、警戒モードを出しまくっていたフィーレラナにも、目の前の人なりに悪意があるわけではないことが分かり始めていた。


かえかは?というと、プリンのスプーンを口に咥えたままブンブンさせてマイペースであったが。



「改めてお願いしたい!君らのことを、教えてもらえないだろうか?君達は何者で、何処から来たのか?何故ここへ来た、、、現れたのか?何か目的はあるのだろうか?、我々、この国が協力したり、また協力をお願いできたりするだろうか?」



赤星は思いつく限りの疑問を口にしてみた。


上司から言われた内容と、さほど間違ってはいない。

打ち合わせした通りに話すなど苦手なのもあるが、目の前の少女達には本音で話す方が誠意は伝わると思えた。


かえかを見つめるフィーレラナ。

「帰る」と口にする、かえか



えっ?ちょっと!っと慌てかけるとこへ「そだね!みなさんも一緒に」とフィーレラナ。


ポカンとする赤星の耳元で「ここじゃマズイということですよ!」

と、佐々木が囁いて説明する。


5人はファミレスを後にした。




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