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時渡りのかえか  作者: 塩引鮭
現代編
10/65

10、桜満開うやむやに

前回の投稿に関してR18の指摘を受けました。

不適切と思われる部分について削除させて戴きました。

なにとぞご了承ください。


まだまだ自分の表現力の無さなど自覚する次第です。


m(_ _)m


現代編その7


〜桜満開うやむやに〜


4台の救急車と2台の消防車。

数台のパトカーが到着した頃には、まわりに大勢の人だかりが出来ていた。


ほぼ全員の野次馬が5階建のビルの3階辺りにスマフォのカメラを向けている。


通りに面し窓だった部分からは6本ほどだろうか?

横の窓だった部分から3本ほどの桜の木が外へ飛び出し、5階建てのビルの屋上で満開に花を咲かせていた。


「おい、赤星!村瀬!、この桜は、いつから生えていた?」


駆けつけ訪ねてきたのは公安課長の杉本である。


村瀬と顔を見合わせてみるが、説明など出来るわけがないと赤星は諦めて、ため息をつくしかなかった。


「すみませんが、取り敢えずレコーダーを見てください!状況は録画されてるはずですから」


更に送れて数人の公安刑事達が合流したので全員で向かいの張り込み場所だった4階の空きテナントに移動する。



全員で一通り映像と、やり取りの音声を確認した後「この黒髪の着物の子は、かえかというらしいな、それと銀髪の子、気づいたか?わずかに髪の毛の中から見えたが、耳の形」


杉本課長の問いに特殊メイクやコスプレではなく本物の魔法使いか妖精でじゃないと説明が出来ないのでは?と言う部下達の意見も否定できない。


古いビルなので建築法に引っかからないためかエレベーターなどは無い。

階段は1ヶ所だけで非常階段も無いため踏み込んだ赤星達から見つからず外へとは考えられなかった。


「どうせ捕まえた3人からは何も情報は出ないだろ!被害者の身元も意識が戻ってからになるが、まずはこの消えた2人だな」


そう言い終わった杉本課長に村瀬が間が悪そうに「あ、あのー、、その被害者と消えた2人なら、俺、分かるかもしれません」


その場の全員がハモりながら叫んだ


「!!!早く言えっ!!!」



某、都内の病院に桂子の両親と共に呼び出され道代は駆けつけていた。


救助された全員、命に別状はなく、元から捕まっていた3人の少女達は心理カウンセラーに付いてもらうなど、すぐに退院というわけにはいかないが、桂子はすぐに気を失っただけで、衣服を脱がされて酷い目にあったわけでもなく、道代も両親も、とても安堵していた。


その後、意識の戻った桂子が自分の口から、ちゃんと説明します!と刑事達の取り調べに対応するのを傍で聞き、こんな真面目な子が何故?いや、真面目だからこそ、こういうことに巻き込まれたのだと理由を初めて知った。


悩みを溜め込むタイプで、人に迷惑をかけたくないが故に両親にも道代にも話さず、自分だけで友達を助けようとした。


内気で大学に入って初めて出来た友達が嬉しかった。

しかし、桂子とは正反対で浪費も激しかったその友人は、どんどん借金を膨らませ、先程の組の連中に目をつけられ、黙って桂子を保証人だと無断で押し付け、そのまま行方不明になったのである。


面倒ごとを親に知られたくもなく、かといって法的に桂子には何も問題はなく、それでも関係ないとも言い張れず。


そのままズルズルと、お金を渡してしまったことから泥沼に落ちたことに気づいた時には、もう既に遅かった。


そんな桂子を、そっと抱きしめ、私は、これからも貴女のお姉さんなのよ!だからなんでも相談して話して!ね?、とだけ告げると、涙で顔を濡らしながら、うつむいて何度もうなずく桂子を両親達に任せて病室を後にした。


通路で待ち構えていた村瀬に「幸ちゃん、本当にホントにありがとう!」とお礼を告げた。

自分まで泣くわけにはいかない!桂子だけでも無事だったことは喜ぼう!


そう言い聞かせて、かえか達の事を聞こうとしたら、逆に「道代さん、他の2人について聞きたいんだけど、分かる事を教えてくれる?」


そう村瀬は告げながら病院に用意してもらった別室へ案内された。


そこには道代の知らない杉本課長と赤星、他数名の刑事達だろう、部屋の角に置かれた机にはモニターとレコーダーが設置してある。


時間もなかったからというわけではないが、張り込んでいた向かいのビルの部屋から、そのまま機材ごと持ってきた物だ。

録画された映像を音声付きで確認してから、「知ってるよね?この2人について分かる事、全部教えてくれるかな?」

別の刑事からの明らかに任意同行のような扱いと言動にもかかわらず、映像を観終わった道代の目はキラキラと輝いていた。


凄い!カッコいい!可愛い!

何この子達?凄く強いじゃない!

魔法?実力?あの木が生えてきたのは妖精くん達の力かな?


「あのー、、、もしもーし?、、、現実に帰ってきてもらえませんかー」


気がつくと横から覗き込む渋いおじさまの顔が。

杉本課長である。


「で、知ってるんだよね?」


慌てて杉本課長の方に向き直り幾度かゴメンなさいと頭を下げてから「はい、数日前からですが少しなら」


そうはいうものの、どう説明したものか?

いきなり空中から部屋の中に現れました!とか、見えてはいないだろうけど可愛い妖精くん達が5人ほど居ますとか、ましてやフィーレラナは本物のエルフだとか。


村瀬のスマフォにかけてしまったことから、秋葉原のコスプレ喫茶から連れて行かれたこととかは把握されてるんだろし。


かえかちゃんの名前はバレてるので、この際、2人の名前と、履歴書も無しに、いきなり訪ねてきたので、可愛そうだから取り敢えずかくまって後日、親御さんのことを聞き出し連絡しようとしていたと、親御さんの部分だけ嘘をついて話してみた。


実際に、それ以外のことは知らないのだし、飛び上がる凄い能力とか、お店の看板娘に仕立てようだとか、そこは別にいいよね?テヘッと心の中で謝りつつ。


道代の涙ぐましい「というわけなんですぅ〜」という顔に、デレデレしている村瀬を除いて全員、うさんくせー、という顔である。


しかし、これ以上の追求も無駄だろう、それ以上は嘘をついてる感じもないので簡単な簡易の調書に店とスマフォの連絡番号とサインをして、とにかく2人が帰ってきたらすぐに連絡を入れると約束させられた。


ああ、そうか!あたし参考人だったんだ!

純ちゃんに、お店を任せっぱなしだったので電話で連絡を入れてからお店に戻る。


臨時休業の札をかけておいたためか、お店にお客様の姿はなく、心配で残っていてくれた数人の従業員達を労い、バイト代は出すから明日から2日間だけはお休みにすると、みんなを帰宅させた。


いろいろあったなと同じフロアーの自分の部屋へ帰宅すると、テーブルの奥で正座をして座っている2人の姿があった。


「お腹すいたー」


かえかの声に苦笑いをするフィーレラナであった。


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