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奴隷は魔王となり、復讐を決意する。  作者: 影月命
第1章「奴隷落ち」
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第5話 『牢屋生活』

あれからどのくらいの時間が経過しただろう。

もしかしたら一時間も満たないかもしれない。


暗い。光は火の灯りだけだった。

窓がないから昼なのか夜なのかがまったくわからない。


僕はさっき、ようやく動けるようになっていた。

最初は檻を壊して村のところに行こうと思ってたんだけど、どうやらこの腕輪が原因で力が出ないようになっているらしい。

はずそうとしてもとれないらしいし、それにまず僕は左腕がなくなったからそもそもはずすことができない。


「諦めるんですな」

「僕をこの牢屋に入れてどうするつもりだ」


僕は奴隷商を精一杯睨みつける。


「売りつけるんですよ。まだ飼ってくれる人はいないですが、あなたもいつかは誰かに飼いとってくれますから安心してください」


なにを安心しろと言うんだ?

ふざけてるのか、こいつは?


「ふざけるな!」


僕は奴隷商を思い切り睨みつける。


「おお、怖いですね」


奴隷商はその言葉を最後に、どこかに行ってしまった。



それから僕はその場に寝て今に至るといったところだ。


左腕の血は止まっていた。

痛みはなくなり、左腕の感覚さえもなくなっていた。


エルザが今普通に生活してると思うと、腹が立って仕方がない。



それから数時間が経過すると、奴隷商が僕のところに来た。


「何しに来たんだ」

「そんなこと言ってますと、餌を与えませんよ」

「餌っていうな!」


「凶暴ですね」


奴隷商は食べ物が乗った皿を僕の前の床に隙間から手を出して置いた。


なんだ、これ。

ネバネバしてて気持ち悪い。

まともな食べ物じゃないな。


でも、これを食べないと餓死してしまう。

僕は鼻をつまみ、その未知の物体を口に運んだ。


「うっ」


口に含んだ途端に、吐き気が襲ってきた。

全身の鳥肌が立つのがわかった。

体がこれは食べてはいけないと拒否反応を起こしてるんだろう。

僕はその食べ物を吐き出してしまった。

無理だ。僕にはこれを食べることができない。


他の奴隷の方を見ると、みんな普通に食べていた。

ずっと食べてるから耐性がついたのか。


もういいや、寝よう。

この檻の中は狭くて、ベッドもトイレもなかった。

トイレはちゃんと違うところにあるらしい。


ベッドがないから地べたで寝るしかない。

僕は横たわって眠ることにした。



地面が硬くて全然眠れない。


それから数分が経過すると、僕はようやく眠りについた。





次の日、僕は起きてもずっと横たわっていた。

ずっと檻の中にいるだけで何もすることがない。

この世で一番苦痛なのは、暇な時間だと僕は思った。


エルザ、お前だけは許さない。

絶対復讐してやる。

でも、どうやれば。


まずはここを出ないといけない。


どうやって出ようか考えてると、玄関の扉が開いて、そこから二十歳くらいの男が来た。

貴族のような服装をしている。


「いらっしゃいませ。今日は何の御用で?」

「そうだな。奴隷を飼いに来たんだけど」


すると、男は牢屋の中の奴隷を一人ずつ見ていった。

見てはとばして、見てはとばしてを繰り返していたのに、男は母さんを見ると立ち止まった。

男は母さんをジ~っと見つめると、


「決めた。こいつにするよ」

「へ?」


母さんは怯えた表情をしてこっちを見ていた。

母さん、ごめん。


「これ、いくらだ」

「金貨五枚です」

「高くねえか?まあいいか。飼った」

「では」


奴隷商は母さんの檻の扉を開けると、母さんに手錠をつけて連れ出した。

カウンターのところに行くと、奴隷商はそこからペンのようなものを取り出した。

それを母さんの胸元につけて、何かの紋章を刻み込んだ。


「あああああぁぁぁぁぁぁ!」


相当痛いのか、母さんは喉が張り裂けんばかりの叫び声をあげた。

母さんの胸元に紋章が刻まれた。


「あなたの名前を教えてください」

「俺は……」


名前のほうは聞こえなかったが、奴隷商はまた何かを刻み出した。

きっと、さっきの紋章の下に、男の名前を書いたんだろう。


すると、奴隷商は母さんの手錠をはずした。


「これで、この奴隷はあなたの言うことに逆うことができません」

「そうか」


なにかいやらしいことでも考えてるのか、ニヤニヤしだす。


「では、これを」


奴隷商は首輪を男にあげた。

男は母さんの首に首輪をつけて、ペットのように連れ出そうとした。


男が僕の前を通り過ぎるときに、僕と目があってしまった。

すると、僕の前に戻ってきて、僕をまじまじと見つめた。


「なんかこいつと似てるな」

「はい。この奴隷の子どもですので」

「へえ~…そうか」


すると僕を見るなり、ニヤ~ッと何かを企んでそうな顔をした。


「こいつはもう俺の奴隷だから何してもいいんだよな」

「はい。そうですが」


男は謎の確認をすると、母さんにこう命令した。


「おい奴隷、こいつの前に座れ」


ご主人様の命令には逆らえない、か。

母さんは抵抗せずに言われたとおりにした。

勝手に動くようになってるんだろう。


すると、男はなぜか背中にある剣を抜き出した。

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